住み替えでよくある失敗事例4選 - 失敗を防ぐための対策とは

住み替えでよくある失敗事例4選 - 失敗を防ぐための対策とは

本稿の概要
・住み替えは、現在お住まいの家の売却と新居の購入が同時に進むため、複雑で分かりにくい
・住み替えでは、資金不足や売却活動の長期化、新居の選択ミスなど、さまざまなリスクがある
・住み替えを成功させるには、資金計画や適切な売出価格設定、不動産会社選びなどが重要

住み替えは、現住居の売却と新居の購入を同時におこなう大仕事です。「今住んでいる家は、希望の価格で売れるかな?」「新しい家は、スムーズに見つかるかな?」と、悩みが尽きないですよね。

実際、住み替えで失敗を経験する人は少なくありません。資金繰りで困ったり、売却活動が長引いたりして、計画変更に追い込まれるケースもあります。そうならないように、事前にしっかり準備したいですね。

本稿では、住み替えでよくある失敗事例や、失敗を防ぐための対策をご紹介します。住み替えを成功させたい方は、ぜひ最後までチェックしてください。失敗リスクを減らせるかもしれません。

住み替えでよくある失敗事例

それではさっそく、住み替えでよくある失敗事例を4つご紹介します。

失敗事例から学べることは、少なくありません。ぜひ、失敗事例から住み替えを成功させるためのヒントを見つけてください。

資金計画が甘く、資金不足に陥った



住み替えでは、以下のような状況で資金不足が発生する可能性があります。ご注意ください。

  • 売却価格の見積もりが甘かった
  • 不動産の売却や購入にかかる諸費用を見落とした
  • 購入先行で進めた結果、二重ローンが発生した
  • 住み替えローンが組めなかった

現住居の売出価格を高めに設定しても、実際には相場価格かそれより低い価格での売却となる可能性があり、想定していた新居の購入資金が不足する恐れがあります。

また、住み替えでは、現住居売却の諸費用や新居購入の諸費用がかかります。そのような諸費用を見落としたまま資金計画を立ててしまうと、やはり資金不足に陥る恐れがあります。

不動産売却にかかる諸費用については、以下の記事で詳しく解説しています。どんな諸費用がかかるのか知らない方は、一度チェックしておくことをおすすめします。


新居の購入と現住居の売却のタイミングが合わず、一時的に新居と現住居の二重ローン(ダブルローン)が発生するケースもあります。ローンの返済が二重になる期間は、返済負担が大きくなります。

現住居の住宅ローンが残っていて、売却代金だけでは完済できない場合も注意が必要です。自己資金で完済するか、住み替えローンを利用する必要があります。

住み替えローンは、新居の購入資金以外の費用も一緒に借り入れできるローンのことです。現住居の残債を完済するための資金や、住み替えに必要な諸費用なども一緒に借りられるのです。


ただし、住み替えローンの審査は、厳しい傾向があります。ですから、住み替えローンの利用を前提に住み替え計画を立てると、審査でつまずく可能性があるため注意が必要です。

これらの要因が重なると、住み替えの計画自体が立ち行かなくなるケースもあります。事前に、しっかりと資金計画を立てることが非常に重要です。

売出価格が高すぎて、売却活動が長期化した



大事な資産であるマイホームを売却する際、少しでも高値で売りたいと思うのが自然でしょう。しかし、売出価格が高すぎると、購入希望者が現れにくく、売却活動が長期化する懸念があります。

売却活動が長期化すると、以下の不利益を被る恐れがありますので、ご注意ください。

  • 長期に渡り、内見対応などの負担がかかる
  • 現住居の固定資産税がかかり続ける
  • マンションの場合は、管理費や修繕積立金などもかかる
  • 物件によっては不動産仲介の担当者が力を入れなくなる
  • 住み替えスケジュールの見直しが必要になる

現住居が長期間売れない場合は、最終的には価格を下げて売却せざるを得なくなる可能性が高いでしょう。そうなると、新居購入予算の組み直しが必要になるかもしれません。

不動産を売却する際は、相場を把握して、適切な売出価格に設定することが大切です。値引き交渉が入ることも、考慮しておくとよいでしょう。

売却と購入のタイミングをうまく合わせられなかった



現住居の売却と新居購入のタイミングが開きすぎると、住み替えに対してさまざまな負担がかかります。売却が先行する場合と、購入が先行する場合に分けて、どのような負担が発生するのかご説明します。

▼売却先行の場合


新居が決まる前に現住居の引き渡し日を迎えるケースでは、新居が見つかるまでのあいだ、仮住まいが必要になります

ですから、新居の購入が遅れ仮住まい期間が長くなると、想定外に出費がかさんでしまいます。

「早く新居を買わなきゃ」という気持ちが強くなると、焦って希望条件に合わない新居を選んでしまいがちです。あとで後悔することになりかねませんので、ご注意ください。

▼購入先行の場合


現住居が売れる前に新居の購入が決まると、新居と現住居の両方の住宅ローンを支払う《二重ローン》の状態になる場合があります。現住居が売れるまで、経済的な負担が大きくなるでしょう。

「早く現住居を売らなきゃ」という気持ちが強くなると、売り急いで過剰な値下げや値引きをしてしまいがちです。そうなると、大事な資産を損なってしまいますので、ご注意ください。

売却と購入のタイミングをできるだけ近づけることは、住み替えを成功させる鍵となります。適切な計画を立てることで、スムーズな住み替えを実現しましょう。

いざ新居で暮らし始めたら、思っていたより住みづらかった



住み替え後に新居で暮らし始めてから「思っていたよりも住みづらい」と感じるケースもあります。

とくに、現住居の売却先行で住み替えを進める場合は注意が必要です。仮住まいが長引くと、焦って新居を購入してしまい、失敗につながりやすくなります。

新居での生活が始まってから「こんなはずではなかった」と後悔しないために、慎重に建物や周辺環境の確認を進めましょう。

確認不足によるリスクをご紹介します。

▼周辺環境の確認不足


内覧時に、不動産会社の担当者が車で案内した場合は、最寄りの駅からの距離感や坂道の有無、スーパーなどの周辺施設の状況が分かりづらいことがあります。

土日や祝日の昼間に内覧したときは静かだったのに、平日の夜は車の騒音が気になることもあります。反対に、昼は活気があったのに、夜は人が少なく、夜道も暗いというケースもあるでしょう。

▼建物自体の確認不足


内覧時に「明るくていいな」と感じた部屋が住んでみると暑かった、あるいは住み始めてから風通しの悪さや結露の多さに気づいた、というケースもあります。

高層マンションに引っ越した場合は、朝のエレベーターの待ち時間が長く生活に支障が出た、というケースもあるでしょう。

新居での暮らしは、実際に住んでみないと分からないことが多いです。内覧回数を増やす等、確認をしっかりおこなうことで「こんなはずではなかった」となるリスクを減らしましょう。

ただし、中古住宅を購入する場合はまだ売主が居住されているケースがあります。

そんなときは、季節ごとの室内の明るさや夜間の騒音、生活していて不便に感じるところなど、少しネガティブな質問を交えて売主に確認するとよいでしょう。

住み替えの失敗を防ぐための対策

つづいて、住み替えの失敗を防ぐための対策をご紹介します。これからご紹介する5つの対策を実践していただくことで《住み替えで失敗するリスク》を減らせます。

資金計画をしっかりと立てる



住み替えを成功させるためには、綿密な資金計画が不可欠です。

資金計画とは、住み替えに必要な資金繰りをおこなうために計画を立てる作業のことです。具体的なポイントをご紹介します。

▼現住居の売却価格の相場を把握する


住み替えでは、不動産売買の相場を正確に把握することが大切です。現住居の売却額が想定を大幅に下回ると、新居の購入予算組みのやり直しが必要になるかもしれません。

▼諸費用を把握する


現住居の売却と新居の購入には、さまざまな諸費用がかかります。これらの費用を漏れなくリストアップして、資金計画に組み込むことが大切です。

▼新居の購入予算を決める


現住居の売却額や諸費用が把握できたら、新築の購入予算も決めます。住宅ローンを利用する場合は、いくらまでなら安全に借りられるのか知っておく必要があるでしょう。

▼住宅ローンの返済計画を立てる


現住居の住宅ローンが残っている場合は、売却代金でその残債を完済できるかどうかも重要です。完済できない場合は、自己資金で完済するか、住み替えローンを利用する必要があります。

住み替えの資金計画は、非常に大切であるにもかかわらず立案の難易度が高いです。自分で資金計画を立てる自信がない方は、迷わず専門家にフォローしてもらうことをおすすめします。

東急株式会社「住まいと暮らしのコンシェルジュ」では、提携する不動産会社やファイナンシャルプランナーと一緒に、お客さまの資金計画の作成をお手伝いしております。

「売却額の相場が分からない!」「どんな諸費用がかかるの?」とお悩みの方は、私たちコンシェルジュにご相談ください。

適切な売出価格を設定する



売出価格は、住み替えの進行に大きな影響を与えます。適切な売出価格に設定することで、売却活動の長期化を防ぎやすくなります。

適切な売出価格に設定するには、市場調査が欠かせません。売却前に、類似物件の売出価格や取引価格(成約価格)を調査し、相場を把握することが重要です。

複数の不動産会社に、査定を依頼することも大切です。なぜなら、同じ物件でも不動産会社によって査定額が大きく異なるケースがあるからです。


近年では、オンラインで複数社に一括で査定を依頼できるサービスが増えています。

たしかに便利なサービスなのですが、一方で「査定金額と売却額が大きく乖離する」「営業の連絡が頻繁に来て疲弊してしまう」などのデメリットもありますので、ご注意ください。

詳しくは、以下の解説をご覧ください。オンライン査定の注意点と対処法について分かりやすくご説明しています。


適切な売出価格を設定するだけでなく、自分に合った不動産会社を見つけることも大切です。不動産会社によって、得意なエリアや物件の種類、売却実績などが異なります。

東急株式会社「住まいと暮らしのコンシェルジュ」では、複数の不動産会社のご紹介も承っております。不動産会社選びのサポートが必要な方は、お気軽にご相談ください。

住み替えのスケジュールを慎重に立てる



住み替えを成功させるには、しっかりとスケジュールを立て、必要に応じて更新しながら焦らず慎重に進める必要があります。

スケジュールを立てる際のポイントをご紹介します。

▼売却と購入のタイミングを調整する


住み替えでは、現住居の売却と新居の購入を同時に進める必要があります。このタイミングが大きくずれると、仮住まいやダブルローンの負担が増えます。

とくに、売却が遅れると新居の購入資金が不足する可能性があるため、注意が必要です。新居の購入が先行するようなら、売却のスケジュールもしっかりと管理して、タイミングを合わせましょう。

▼売却先行か購入先行かを選択しておく


同時進行で進めても、売却と購入のタイミングを完全に一致させるのは困難です。あなたの状況や優先順位に合わせて、どちらを先行させるのが適切か検討しておきましょう。

売却先行と購入先行の特徴を、簡単にご紹介します。
売却先行売却額が確定してから新居を探すため、資金計画が立てやすくなる。新居を購入するまで、仮住まいが必要になる。
購入先行新居選びにじっくり時間をかけられる。旧居現住居に住宅ローンの残債がある場合は、一時的に二重ローンになる場合がある。


「なるべく資金繰りに失敗したくない」という方は、売却先行が安心です。購入先行で進めると、以下のような問題が生じる可能性があります。

  • 思っていた価格で現住居が売れず、新居の住宅ローンが重荷になった
  • 売却に手間取り、二重ローンで苦しんだ

繰り返しになりますが、売却先行で進めると、現住居の売却額が明確になるため資金計画が狂いにくくなります。

一方、資金に余裕があり、仮住まいに費用をかけるより二重ローンのほうがいいとお考えの場合は、買い先行を検討してみるとよいでしょう。

▼不動産市場の動きに対応する


意外と見落としがちですが、不動産市場の活発さは常に変動しているため、売却や購入のタイミングを見極めることが大切です。

売却時期や購入時期を市場の動向に合わせることができれば、よりよい条件での取引が可能になります。ご都合が合えば、春先などの不動産売買が活発なシーズンに住み替えを進めるとよいでしょう。

不動産売買が活発なシーズンに住み替えを進めると、以下のメリットがあります。

  • 住み替え先の物件の選択肢が増える
  • よりスムーズに買主を見つけられる

また、売却と購入を同じ不動産会社に依頼するのも、住み替えをスムーズに進めるひとつの方法です。スケジュール調整がしやすくなり、さまざまな手間も省けます。

新居を丁寧に選ぶ



新居選びの失敗は、住み替え後の後悔につながります。住み替えの失敗を防ぐためには、新居を丁寧に選ぶことが非常に大切です。

まず、新居に求める条件を明確にして、優先順位を付けてから物件を探しましょう。譲れないことと妥協できることが明確であれば、物件選びの基準も明確になり、選択で失敗しにくくなります。

新居の内覧をしっかりおこなうことも大切です。《可能であれば実行していただきたいポイント》をご紹介します。

  • 新居の内覧は複数回おこない、室内だけでなく周辺環境も確認する
  • 異なる時間帯や曜日に訪れ、日当たりや騒音、交通量などを確認する
  • 最寄り駅から該当物件まで実際に歩いてみる

大型のマンションの場合は、エレベーターの利用状況や、駐車場からお部屋までの距離なども確認しておきたいところです。

信頼できる不動産会社を選ぶ



住み替えでは、信頼できる不動産会社に相談することがとても大切です。不動産会社選びに成功すると、住み替えの成功率もグッと上がるでしょう。

不動産会社選びの注意点をご紹介します。

▼売却時の注意点


売却では、査定が不動産会社との最初の接点になるケースが多いでしょう。単純に、査定額が一番高い不動産会社に売却を任せればいい、ということではありませんのでご注意ください。

なぜなら、本当にその査定価格で売れるかどうか分からないからです。不動産の取引価格は、不動産会社の査定額ではなく、買主との交渉や合意で決まります。

ですから、複数の不動産会社による査定額を比較・検討したうえで、納得感のある不動産会社を選ぶことが大切です。

▼購入時の注意点


顧客目線の不動産会社は、あなたのニーズをしっかりと聞いてくれます。あなたのニーズを確認したうえで、物件の長所だけでなく短所も説明してくれる不動産会社を選びましょう。

誠実な不動産会社に相談すれば、一般の方が見落としがちなポイントを、プロの視点から指摘してもらえることもあるでしょう。

▼信頼できる不動産会社を選ぶためのポイント


では、どうすれば信頼できる不動産会社を選べるのでしょうか?―― 不動産会社を選ぶ際、以下のポイントに着目していただくとよいでしょう。

  • 売却あるいは購入する物件の種類やエリアに精通している
  • 仲介の実績が豊富で、説明やアドバイスに納得感がある
  • 何でも相談しやすく、意思の疎通がスムーズ

まず、売却する物件の種類やエリアに精通していることが必須の条件です。ホームページ等で、実績を確認しましょう。

また、担当者との相性も重要です。「話の内容に納得感がない」「相談しにくい」と感じるようなら、その不動産会社は避けたほうが無難です。

買取サービスやホームステージングサービス(売出中の物件を家具や照明などでモデルハウスのように演出するサービス)など、多様なサポートが用意されているとなおよいでしょう。

他にも、不動産会社選びでは細かいチェックポイントがたくさんあります。詳しくは、私たちコンシェルジュにお尋ねください。

まとめ:住み替えで悩んだら住まいと暮らしのコンシェルジュへ

不動産は、売ったり買ったりするだけでも大変です。物件の売却と購入を同時におこなう《住み替え》なら、なおさらでしょう。実際、住み替えで失敗を経験する人は少なくありません。

住み替えの失敗リスクを下げるには、よくある失敗事例から学び、失敗しやすいポイントの対策を丁寧に実施していく必要があります。
住み替えで悩んだら住まいと暮らしのコンシェルジュへ
東急株式会社「住まいと暮らしのコンシェルジュ」では、資金計画や不動産会社選びのお手伝いなど、住み替えをサポートするサービスをご提供しております。

住み替えに伴うお引っ越しから住まいのちょっとしたお困りごとまで、さまざまなご相談を同時に無料でおこなっていただけますので、お気軽にお問い合わせください。