家やマンション、土地などの不動産を売却したときの代金は、その全額が手元に残るわけではなく、仲介手数料や登記費用、税金など、さまざまな費用が差し引かれることになります。
そのため、不動産売却時にどんな費用がいつ、いくらかかるのか、目安や相場をあらかじめ知っておくと役立つでしょう。
この記事では、不動産売却にかかる費用を一覧で紹介し、必要なタイミングや目安となる金額について解説します。
※税率や制度は2023年10月現在の内容です。税率や制度適用には期間の定めがあり、変更の可能性があります。
不動産売却にかかる主な費用
不動産の売却時にかかる主な費用は、以下の通りです。
不動産売却の費用①仲介手数料
不動産売却にかかる費用のうち、もっとも比重が高いのが仲介手数料です。
仲介手数料とは、マンションなどの不動産を売買する際に、仲介を依頼した不動産会社に支払う手数料のことを言います。
仲介手数料の相場
仲介手数料については、法律(宅建業法(宅地建物取引業法)の第46条)によって上限額が定められています。
法律で定められた上限額が実質的な相場と考えて良いでしょう。
具体的な金額は、以下の通りです。
不動産の売買価格 | 仲介手数料の上限額(税抜) |
200万円未満 | 売買価格×5% |
200万円超400万円以下 | 売買価格×4%+2万円 |
400万円超 | 売買価格×3%+6万円 |
仲介手数料の早見表
仲介手数料の具体的な金額は、以下の通りです。
不動産の売買価格 | 仲介手数料(税抜) | 仲介手数料(税込) |
1,000万円 | 36万円 | 39万6,000円 |
2,000万円 | 66万円 | 72万6,000円 |
3,000万円 | 96万円 | 105万6,000円 |
4,000万円 | 126万円 | 138万6,000円 |
5,000万円 | 156万円 | 171万6,000円 |
6,000万円 | 186万円 | 204万6,000円 |
7,000万円 | 216万円 | 237万6,000円 |
8,000万円 | 246万円 | 270万6,000円 |
9,000万円 | 276万円 | 303万6,000円 |
1億円 | 306万円 | 336万6,000円 |
1億1,000万円 | 336万円 | 369万6,000円 |
1億2,000万円 | 366万円 | 402万6,000円 |
1億3,000万円 | 396万円 | 435万6,000円 |
1億4,000万円 | 426万円 | 468万6,000円 |
1億5,000万円 | 456万円 | 501万6,000円 |
1億6,000万円 | 486万円 | 534万6,000円 |
1億7,000万円 | 516万円 | 567万6,000円 |
1億8,000万円 | 546万円 | 600万6,000円 |
1億9,000万円 | 576万円 | 633万6,000円 |
2億円 | 606万円 | 666万6,000円 |
詳しくは、以下の記事もぜひ参考にしてください。
マンション売却の仲介手数料はいくら?内訳や相場、安く抑える方法を解説
不動産売却にかかる手数料や諸費用はいくら?相場や抑える方法を解説
仲介手数料を支払うタイミング
仲介手数料を支払うタイミングは、不動産会社によって異なるものの、以下のいずれかが一般的です。
- 引き渡し(決済)時に全額を一括で支払う
- 契約の締結時に半額を、引き渡し完了時に残額を支払う
仲介手数料は成功報酬なので、契約時に全額を支払う必要はありません。
ただし、不動産会社によっては、契約の締結時に半額の支払いを求められるケースもあるため、支払うタイミングについては、事前に確認しておきましょう。
不動産売却の費用②譲渡所得税
不動産の売却によって利益が発生した場合は、譲渡所得税がかかります。
計算方法や税率を把握して、あらかじめシミュレーションしておくと安心です。
譲渡所得税の計算方法
譲渡所得税を計算するには、まず譲渡所得を算出します。
計算式は、以下の通りです。
譲渡所得=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
譲渡収入金額とは、不動産の売却代金として買主から受け取った金銭のことです。
土地や建物の代金以外に、譲渡から年末までの固定資産税・都市計画税に相当する金銭を受け取った場合は、譲渡収入金額に加算されます。
土地の取得費には、土地の購入代金のほかに、購入手数料などが含まれます。
建物の取得費は、購入代金や建築代金、改築費などの合計金額から、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いた額です。
また、売った土地建物が先祖伝来のものなど、購入時期が古くて詳細が分からない場合、売却代金の5%相当額を取得費とすることも可能です。
譲渡費用とは、不動産を売却するためにかかった費用のことです。
具体的には、仲介手数料、印紙代、登記費用などが挙げられます。
不動産売却時に利用できる特別控除には、以下のようなものがあります。
種類 | 特別控除額 |
収用等により土地建物を譲渡した場合 | 5,000万円 |
マイホーム(居住用財産)を譲渡した場合 | 3,000万円 |
被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した場合 | 3,000万円 |
特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合 | 2,000万円 |
特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合 | 1,500万円 |
平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合 | 1,000万円 |
農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合 | 800万円 |
低未利用土地等を譲渡した場合 | 100万円 |
譲渡所得税の税率
譲渡所得税の税率は、売却する不動産を所有していた期間の長さに応じて異なります。
具体的な譲渡所得税の税率は、以下の通りです。
区分 | 税率 |
短期譲渡所得(所有期間5年以下の土地・建物) | 税率39.63% (所得税 30.63% 、住民税 9%) |
長期譲渡所得(所有期間5年を超える土地・建物) | 税率20.315% (所得税 15.315% 、住民税 5%) |
不動産売却の費用③印紙税
不動産の売買契約書には印紙を貼る必要があります。
売買契約書に印紙を貼り忘れてしまっても、契約自体が無効になることはありませんが、「本来の収入印紙の金額+2倍の金額」の過怠税を納めなければならなくなるので注意しましょう。
1万円の印紙を貼り忘れてしまった場合、3万円の支払い義務が発生します。
印紙税の軽減税率
印紙税の額は、売買契約の金額に応じて変わります。
印紙税には、令和6年3月31日までの軽減税率が適用されます。
契約書1通あたりの印紙税額は、以下の通りです。
売買契約の金額 | 印紙税額 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 10,000円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 30,000円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 60,000円 |
不動産売却の費用④住宅ローン返済手数料
不動産売却に際して住宅ローンを繰上げ返済する場合も、所定の手数料が必要な場合があります。
手数料の金額は金融機関によって異なるほか、窓口で行う場合は高く、電話やネット経由で行う場合は安くなるのが一般的です。
例えば、大手金融機関の住宅ローン返済手数料相場は、以下の通りです。
返済方法 | 住宅ローン返済手数料相場 |
窓口での手続き | 2,000円~5万円 |
電話やネット経由での手続き | 5,000円〜1万5,000円 |
また、不動産売却の住宅ローン残債については、オーバーローンなのかアンダーローンなのかで、その後の対応が異なります。
オーバーローンの場合
オーバーローンとは、「不動産の売却代金よりも住宅ローン残債が多い」状態を指します。
この場合、不動産を売却しても住宅ローン残債が残るため、ほかの資産を売却して返済に充てたり、住み替えローンなどを検討する必要があるでしょう。
新たにローンを組む場合は、住宅ローンの繰上げ返済手数料以外に、事務手数料などの費用がかかります。
詳しくは、以下の記事もぜひ参考にしてください。
住宅ローンが残っている家を売るには?売却方法や注意点を解説
アンダーローンの場合
アンダーローンとは、「不動産の売却代金よりも住宅ローン残債が少ない」状態を指します。
この場合、金融機関の許可さえあれば、「不動産の売却」「住宅ローンの完済」「抵当権の抹消」の3つの手続きを同日に行うことで、不動産の売却が可能です。
不動産売却の費用⑤抵当権抹消登記費用
不動産を売却して住宅ローンを完済したら、抵当権を抹消する必要があります。
抵当権の抹消の登記手続きには、不動産1件につき1,000円の登録免許税がかかります。
例えば、一戸建てを売却する場合には、土地・建物それぞれが1件としてカウントされるため、登録免許税は2,000円です。
抵当権抹消の登記手続きを司法書士に依頼する場合は、別途15,000円〜20,000円程度の報酬が発生します。
不動産売却の費用⑥その他
不動産売却には、その他にもさまざまな費用がかかる場合があります。
以下は、必ずかかるわけではないものの、状況によっては発生する可能性がある費用の一覧です。
ハウスクリーニング費用
不動産の売却をスムーズにするには、内覧時の印象が大切です。
そのため、特に築古のマンションや一戸建ての場合、ハウスクリーニングを入れて見映えを良くするのも一つの方法です。
ハウスクリーニングの費用は、部屋の広さによって変わります。
居住中の部屋の場合、空室よりも費用が高くなる傾向にあるため、注意しましょう。
例えば、3LDKのマンションの場合、ハウスクリーニングの相場は以下の通りです。
不動産の状況 | ハウスクリーニング費用の相場 |
空室 | 8~9万円 |
居住中 | 10~12万円 |
決して安い金額ではありませんが、経年劣化や汚れを理由に値下げ交渉をされにくくなるというメリットもあります。
引越し費用
居住中の物件を売却する場合、引き渡し前に引っ越しをしなければいけません。
新たな物件の取得費用や、賃貸の場合は契約に際して敷金や礼金などの初期費用がかかるでしょう。
また、家具や家電などの移動のための引越し費用もかかります。
引越し費用は、同一都道府県内・家族4人での転居の場合、15万5,000円~30万円程度が相場です。
繁忙期の引っ越しはさらに費用が高くなるので、注意しておきましょう。
測量費用
一戸建てを売却する場合、買主から土地の境界確認書や確定測量図の提示を求められる可能性があります。
特に境界が定まっていない不動産の場合、土地の測量費用が必要となるケースがあるでしょう。
測定費用は100%売主負担となり、官民査定なしの 相場は20~40万円程度です。
解体費用
築年数が古い戸建て住宅の場合、建物を解体して更地で売却するほうが良いケースもあります。
この場合、売主は家の解体費用を負担しなければなりません。
解体費用の相場は、家の構造や建材によって違いがあります。
例えば、木造住宅の場合は坪単価5万円〜7万円程度、鉄骨造の場合は坪単価5万円〜10万円程度、鉄骨鉄筋コンクリート造の場合は坪単価7万円〜12万円程度が目安です。
家財処分費用
引越しをする場合、不要になった家財道具は処分するのが一般的です。
不用品回収や廃棄物処理を行う会社に依頼して処分する場合、一戸建てだと15万円〜100万円程度の処分費用がかかることもあります。
また、どうしても捨てたくない家具や物がある場合は、レンタル収納サービスを利用する方法もあります。
レンタル収納サービスの利用費用は、月額1万円~3万円程度が目安です。
不動産売却時の業者選びはコンシェルジュに相談しよう
不動産の売却にはさまざまな費用がかかります。
ここまで一覧にして紹介してきましたが、必要な費用は物件により異なるため、すべての費用がかかるわけではありません。
実際にかかる費用の目安をもっと詳しく知りたいという方や、できるだけ費用を抑えて売却活動を進めたいという方には、専門家への相談をおすすめします。
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