住まなくなったマンションについて、「売る」べきか「貸す」べきか、迷っているという方もいるのではないでしょうか。マンションの売却と賃貸にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
そこで本稿では、マンションは「売る」のと「貸す」のとどちらが良いのか、それぞれのメリット・デメリットや手続きの流れ、注意点について詳しく解説します。
マンションを「売る」か「貸す」かを決める3つの基準
まずは、マンションを「売る」か「貸す」かを判断する際に注目したい、3つの基準について解説します。
再び住む可能性があるか
将来再びそのマンションに住む可能性があるのであれば、売るよりも貸すことを選択するほうが良いでしょう。一度売って手放してしまうと、2度と同じマンションに住むことができない可能性もあります。
「5年後にもう一度住みたい」など、あらかじめ期間が決まっている場合には、定期借家契約で借主を見つけることも可能です。
住宅ローンは残っているか
住宅ローンとは、金融機関が契約者自身の住居購入資金を対象として行う融資のことです。
そのため、住宅ローンの残債があるマンションについては、原則、賃貸ができなくなっています。
ただし、賃貸併用住宅として契約している場合や、転勤など特別な事情があると金融機関が認めた場合は、住宅ローンを継続したままマンションを賃貸することも可能です。
住宅ローン残債があるマンションを「売る」か「貸す」か、迷っている場合は、金融機関に相談することから始めてみましょう。
マンション経営が可能か
マンションを「貸す」ということは、賃貸事業を営むということです。
賃貸事業はそれほど簡単なことではなく、入居者の募集や契約締結、家賃の回収やメンテナンスなど、意外に手間や費用がかかります。管理会社に依頼することもできますが、それなりの費用がかかるため、上手く借り手が見つかっても必ず利益が出るとは限りません。空室リスクや家賃未払いなどのリスクを負う可能性もあるでしょう。
本腰を入れてマンション経営を始める場合は「貸す」のも良いですが、手間をかけずに手放したいという場合は、「売る」ほうが煩わしさは少ないでしょう。
マンションを「売る」メリット、手続きの流れ
売却するメリット
マンションを売却することで、以下のようなメリットが得られます。
- 大きな収入を得られる
- 税制優遇を受けられる
- 住宅ローンを完済できる
マンションは築年数が経過するにつれて、資産価値が低下すると言われています。よほど地価が上昇すれば別ですが、一般的には早く売却したほうが、大きな収入を得られる可能性は高くなります。
また、自分が住んでいたマンションを売る場合、要件に合えば以下の税制優遇を利用することができ、売却益に対する譲渡所得税負担を抑えられる可能性があります。
もちろん、住宅ローン残債があるマンションを売れば、ローンを繰り上げて一括返済可能です。
No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁
No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国税庁
No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁
No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁
売る手続きの流れ
マンションを売ると決めたら、以下のような流れで手続きを行います。
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と仲介契約を結ぶ
- 物件を売り出す
- 内覧者の対応
- 買い手が見つかったら売買契約を交わす
- 物件の引き渡し(決済)
不動産会社にマンションの査定を依頼する際は、自分でも近隣マンションの相場を調べておくと良いでしょう。
駅から近い、日当たりや風通しが良いなどの条件が揃ったマンションであれば、比較的早く売買契約が成立する可能性もあります。また、築年数が浅いマンションのほうが売りやすい傾向にあるでしょう。
売却するデメリット・注意点
マンションを売るときは、デメリットや注意点も把握しておきましょう。
- すぐに売れるとは限らない
- 仲介手数料や登記費用、印紙代などのコストがかかる
- 譲渡益がでた場合は譲渡所得税がかかる
マンションは、売りに出したからといってすぐに売れるわけではありません。
一般的に、売り出しから売買契約の締結までにかかる期間は4~6ヶ月程度が目安だと言われていますが、それ以上に長くかかる可能性も考えられるでしょう。
買い手が見つかった場合も、マンションの売却にあたっては仲介手数料や登記費用、印紙代などの費用がかかります。譲渡益がでた場合には譲渡所得税もかかるため、それらを考慮したうえで売却価格を決めることが大切です。
マンションを「貸す」メリット、手続きの流れ
続いては、マンションを「貸す」場合のメリットや手続きの流れについて解説します。
賃貸するメリット
マンションの賃貸には、以下のようなメリットがあります。
- 継続的に家賃収入が得られる
- 減価償却費や固定資産税、管理費等は経費計上できる
- 再び住むことができる
上手く借主が見つかれば、家賃収入を定期的に得ることができます。住宅ローンを継続する場合も、家賃収入をローン返済に充てることができるため、負担を軽減しながら資産の保有が可能です。
賃貸事業を営む場合、建物の減価償却費や固定資産税、管理費等は経費計上できるため、節税メリットも得られます。
また、お気に入りのマンションの場合、賃貸であれば将来的にもう一度住むことができるのも大きなメリットです。
貸す手続きの流れ
マンションを貸す場合、自分で手続きを行うのはかなり大変です。そのため、費用をかけてでも、手続きは不動産仲介会社や管理会社に依頼したいという方が多いのではないでしょうか。
マンションを貸すときの流れ、必要な手続きは以下の通りです。
- 不動産会社を探す
- 管理会社や管理方法を決める
- 賃貸管理委託契約を交わす
- 入居者の募集を開始する
- 借り手が見つかったら賃貸契約を結ぶ
築年数が浅く、設備が充実しているマンションや、大学や専門学校が近くにあるマンションは、比較的借主が見つかりやすい傾向にあります。
再び住む予定が決まっている場合は、「定期借家契約」、そうでない場合は「普通借家契約」を締結しましょう。
不動産会社や管理会社には、入居者募集から家賃の回収、退去時の原状回復まで、ほとんどの業務を任せることができます。
賃貸するデメリット・注意点
マンションを貸すうえで知っておきたいデメリットや注意点は、以下の通りです。
- 空室リスクがある
- 維持費用や管理費用がかかる
- 売却時に高く売りにくくなる
入居者を募集したからといって、必ず見つかるとは限りません。
もっとも注意しなければならないのが、空室リスクです。
空室の間は家賃収入がゼロにもかかわらず、入居者を募集し続けるための維持費用や管理費用がかかります。
また、一度賃貸したマンションは、売却するときに高く売りにくくなってしまうので注意が必要です。
マンションは「売る」「貸す」どっちがお得?
ここまで紹介した通り、マンションの売却と賃貸には、それぞれメリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット | |
売る (売却) |
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貸す (賃貸) |
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マンションを「売る」のと「貸す」のとで、どちらがお得なのかは、一概に言えるものではありません。どんな物件なのか、どんな状況なのかによって、どちらが良いかは変わってくるでしょう。
マンションの売却と賃貸で迷ったときは、中立の立場でアドバイスしてくれる専門家に相談するのも一つの方法です。
例えば、東急株式会社の無料相談窓口「住まいと暮らしのコンシェルジュサービス」は、東急沿線の住まいと暮らしの安心・無料相談窓口です。宅建士や建築士といった専門的な資格を持つコンシェルジュに相談ができるので、ぜひ活用してみてください。
マンションを「売る」か「貸す」か迷ったときはコンシェルジュに相談しよう
マンションを「売る」か「貸す」かは、どちらにもメリット・デメリットがあります。
どちらが良いとは一概に言えないため、ご自身の状況を鑑みたうえで、慎重に検討することが大切です。
マンションを「売る」か「貸す」かは、基本的に一度きりの選択です。そんな大事な選択を自分だけで判断するのは難しいと感じる方も多いでしょう。