マンションを売却するうえで気になるのが、仲介手数料の金額です。仲介手数料は、不動産会社によって差はあるものの、法律により上限が定められています。
本稿では、マンション売却時に支払う仲介手数料の内訳や相場、安く抑える方法について解説します。
マンション売却時の仲介手数料とは
マンション売却時の仲介手数料とは、不動産を売買する際に、仲介を依頼した不動産会社に支払う手数料のことです。
仲介手数料は成功報酬なので、買い手が見つかって、実際に不動産売買契約を交わすまでは支払う必要はありません。
仲介手数料の内訳
マンション売却時の仲介手数料には、通常の仲介業務で発生する以下のような費用が含まれています。
- 物件調査と査定書の作成
- 登記事項の確認
- ガスや上下水道の状況を調査
- 法規制や都市計画を調査
- DM作成やチラシ作成
- チラシをポスティング
- 不動産情報サイトに掲載、修正、削除
- 購入希望者が現れたら物件案内
- 売主や、買主側の不動産屋と打ち合わせ
- 買主からの価格交渉の調整
- 重要事項説明の作成
- 契約書の作成
- 不動産売買契約の立ち合い
また、以下のような費用は仲介手数料に含まれず、売主の同意のもとで行われ、実費で請求されます。
- 特別におこなう販売活動の費用
- 遠方の買主に会いに行く旅費交通費
- 測量費や図面作製費用
- 内装を撤去する場合の解体費用
- 修繕やリフォームの費用
仲介かかる業務については、不動産会社と結ぶ媒介契約書の約款(やっかん)に記載されています。不動産会社が国土交通大臣の定める『標準媒介契約約款』を利用している場合は、第9条をご確認ください。
参考:<a href="https://www.mlit.go.jp/common/001213683.pdf
" target="_blank" rel="noopener noreferrer">標準媒介契約約款 第9条(報酬の受領の時期 )
マンション売却時の仲介手数料相場
マンションの売却時にかかる仲介手数料は、法律(宅建業法(宅地建物取引業法)の第46条)によって上限額が定められています。
(報酬)
第四十六条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
3 国土交通大臣は、第一項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。
4 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。
引用:宅地建物取引業法 | e-Gov法令検索
とはいえ、国土交通大臣が定める額はあくまでも上限なので、不動産会社が自由に値下げをすることは可能です。
しかし現状、仲介手数料を値下げする不動産会社は稀なため、法律上の仲介手数料の上限額が、事実上、仲介手数料の相場となっています。
では、マンション売却時にかかる仲介手数料の相場はいくらなのでしょうか。
ここでは、仲介手数料の上限額や計算方法を見ていきましょう。
仲介手数料の上限
法律によって定められた仲介手数料の上限額は、マンションの売買価格によって決まります。
具体的には、以下の通りです。
出典:国土交通省告示第493号
区分 | 仲介手数料の上限額(税抜) |
200万円以下の部分 | 5% |
200万円超400万円以下の部分 | 4% |
400万円超の部分 | 3% |
仲介手数料の計算式
マンション売却時にかかる仲介手数料は、以下の計算式で算出できます。
マンションの売買価格 | 仲介手数料の上限額(税抜) |
200万円未満の物件 | 売買価格×5% |
200万円超400万円以下の物件 | 売買価格×4%+2万円 |
400万円超の物件 | 売買価格×3%+6万円 |
例えば、売買価格1,000万円の物件の仲介手数料は、「1,000万円×3%+6万円+消費税=396,000円(税込)」となります。
仲介手数料のシミュレーション【早見表】
以下は、マンション売却時の仲介手数料が具体的にいくらかかるのかが一目で分かる早見表です。これからマンション売却を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
マンションの売買価格 | 仲介手数料(税抜) | 仲介手数料(税込) |
100万円 | 50,000円 | 55,000円 |
300万円 | 140,000円 | 154,000円 |
500万円 | 210,000円 | 231,000円 |
1,000万円 | 360,000円 | 396,000円 |
1,500万円 | 510,000円 | 561,000円 |
2,000万円 | 660,000円 | 726,000円 |
2,500万円 | 810,000円 | 891,000円 |
3,000万円 | 960,000円 | 1,056,000円 |
3,500万円 | 1,110,000円 | 1,221,000円 |
4,000万円 | 1,260,000円 | 1,386,000円 |
4,500万円 | 1,410,000円 | 1,551,000円 |
5,000万円 | 1,560,000円 | 1,716,000円 |
5,500万円 | 1,710,000円 | 1,881,000円 |
6,000万円 | 1,860,000円 | 2,046,000円 |
6,500万円 | 2,010,000円 | 2,211,000円 |
7,000万円 | 2,160,000円 | 2,376,000円 |
7,500万円 | 2,310,000円 | 2,541,000円 |
8,000万円 | 2,460,000円 | 2,706,000円 |
8,500万円 | 2,610,000円 | 2,871,000円 |
9,000万円 | 2,760,000円 | 3,036,000円 |
9,500万円 | 2,910,000円 | 3,201,000円 |
1億円 | 3,060,000円 | 3,336,000円 |
マンション売却時の仲介手数料はいつ払う?
マンション売却時の仲介手数料を支払うタイミングは、「決済時に一括」または「契約時に半金、決済時に半金」のどちらかです。仲介手数料を支払うタイミングは不動産会社によって異なるので、事前に確認しておくと安心です。
「決済」とはマンションの引き渡し(物件代金の清算)を指し、「契約」とは不動産売買契約を指します。
マンションの仲介契約を締結したタイミングで仲介手数料を支払うことはないので、注意しておきましょう。
決済(引き渡し)時に一括
マンション売却時の仲介手数料は成功報酬が原則なので、引き渡し(決済)時に全額を一括で支払うパターンが多くなっています。
この場合、売却代金の入金と同時に支払うことになるため、事前にお金を用意する必要はありません。
契約時に半金・引き渡し時に半金
売買契約時に半金、引き渡し時に半金を支払う場合は、事前に仲介手数料の半金分を用意しておかなければいけません。
支払いのタイミングは、売主と不動産会社が協議して決めることもできます。契約時にお金を用意できない場合は、決済時一括払いにできないか相談してみるのも良いでしょう。
マンション売却時の仲介手数料を安く抑える方法
マンション売却時の仲介手数料は上限額=相場となっているため、ほとんどの不動産会社が同じ金額を提示しています。とはいえ、できれば少しでも安く抑えたいですよね。
ここからは、マンション売却時の仲介手数料を安く抑える具体的な方法について解説します。
仲介手数料は値下げ(値引き)交渉可能
不動産会社に支払う仲介手数料は、値下げ(値引き)交渉をしても構いません。
ただし、成功率は決して高くありません。部引きを要求することで、不動産会社の意欲が低下するなどのデメリットもあるため、交渉は慎重に行うことをおすすめします。
仮に値引きしてもらえたとしても、積極的に買主を探してくれなかったり、マンションの売却価格を下げることを安易にすすめられたりしては本末転倒です。
値引きをする代わりに、一部の不動産会社ではサービスを充実させることで、付加価値を付けて対応しています。
例えば、以下のようなサービスがあります。
- ホームステージング:お部屋をインテリアコーディネートでモデルルーム化
- ホームクリーニング:お部屋の中や水まわりをそうじのプロが清掃
- ホームインスペクション:建物の状態を調査して報告
- 瑕疵(かし)保険:引き渡し後に判明した不備について補修費用を補償
- 賃貸査定:賃貸に出した場合の家賃相場をチェック
最近は、VR(バーチャル・リアリティ)内覧が普及しつつあります。それにともない、CG加工でホームステージングをしてくれる不動産会社も出てきました。
このような手厚いサービスをおこなう会社に仲介を依頼して、高額かつ早期の売却を目指すほうがよいケースもあります。
売却の結果によっては、仲介手数料の値引きより売主に利得があるでしょう。
仲介手数料が安い不動産会社に依頼する
不動産会社によっては、DX化することで運営管理費を抑え、最初から仲介手数料を安く設定している場合もあります。
仲介手数料を安く抑えるには、いくつかの不動産会社に見積もりを依頼し、仲介手数料が1番安い不動産会社と契約すると良いでしょう。
ただし、ただ安いというだけで選ぶと、サービスの質が悪いなどのリスクもあります。
仲介手数料の金額も含めて、総合的に判断するようにしてください。
個人間で直接売買する
そもそも不動産会社に仲介を依頼しなければ、仲介手数料はかかりません。
自力で買い手を見つけて直接売買すれば、仲介手数料を支払う必要はないのです。
ただし、マンションを売却するにあたっては、金額交渉や売買契約書の作成など、個人では難しいことも多いです。
個人間での売買契約はトラブルに発生するリスクもあるため、おすすめはできません。
その他の費用を見直す
マンション売却時にかかる費用は、仲介手数料だけではありません。
仲介手数料以外の費用を見直し、安く抑えるというのも一つの方法です。
マンション売却時にかかる仲介手数料以外の費用は、以下の通りです。
- 印紙税
- 登記費用
- ローンを一括返済するための費用
- 譲渡所得税
- 住民税
- 引っ越し費用
- ハウスクリーニング費用
など
例えば、登記を自分で行うことで司法書士に支払う報酬を削減したり、引っ越しを自分で行って引っ越し業者に支払う費用を削減したりと、見直せる部分もゼロではありません。
仲介手数料が安くできない分、その他の費用を少しでも削減することで、負担を減らすことができるでしょう。
高く売ることに目を向ける
仲介手数料を安く抑えることよりも、マンションを高く売ることに目を向けるのもおすすめです。仲介手数料も考慮したうえで相場よりも高く売却ができれば、手元に残るお金は増えることになります。
マンションをできるだけ高く売りたいという場合は、専門家への無料相談を検討してみてはいかがでしょうか。
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