リフォームと建て替えの違いは?住み替えと、どっちがお得?徹底比較

リフォームと建て替えの違いは?住み替えと、どっちがお得?徹底比較

本稿の概要
・リフォームは、もっともコストを調整しやすい
・建て替えは骨組みを解体して新築するため、高コストだが、すべてが新しくなる
・住み替えも高コストだが、ライフステージに合わせて家のサイズや居住地を変えられる


お住まいが老朽化してくるとリフォームや建て替え、あるいは別の家への住み替えが脳裏をよぎりますよね。「いったい、どれが自分に合っているのだろうか?」と悩む方が少なくないでしょう。

また、リフォームと建て替えの違いが分からなかったり、住み替えのハードルはとくに高く感じたりする方もおられるでしょう。そんなときは、それぞれの違いを理解することが大切です。

本稿では「リフォーム・建て替え・住み替え」の違いや、それぞれの長所と短所をご紹介します。あなたも、本稿で情報を整理して、自分にぴったりの選択をしてみませんか?

リフォーム・建て替え・住み替えの違い

さっそく「リフォーム・建て替え・住み替え」の違いを4項目で比較しながらご説明しましょう。

比較1:意味の違い



まずは「リフォーム・建て替え・住み替え」の意味をご紹介します。「それぞれ、どう区別したらいいか分からない」という方は、まず意味からご理解いただくとよいでしょう。

▼リフォームとは


「リフォーム」は、和製英語です。英語にも「reform」という単語がありますが、日本語とは違う意味(改革、改心など)で使われます。

日本語の「リフォーム」に決められた定義はありません。一般的には改修工事を指して用いますが、修繕工事模様替え工事を指す場合もあります。リノベーションと表現することもあります。

しかし、改修や修繕、模様替えにも一定の定義はありません (大規模の修繕、大規模の模様替は建築基準法で定義されています)。

国土交通省の資料では、以下のように説明されているケースが多いようです。

修繕工事建築物の経年劣化した部分を、既存のものとおおむね同じ位置に、同じような材料・形状・寸法のものを用いて原状回復を図ること。
模様替え工事建築物の構造・規模・機能の同一性を損なわない範囲で改造すること。一般的に改修工事などで原状回復を目的とせずに性能の向上を図ること。
改修工事修繕および改良(グレードアップ)により、建築物の性能を改善する工事。


リフォームと建て替えの違いは「建物の骨組み(構造)部分を残すかどうか」にあります。リフォーム工事では既存の骨組みを利用しますが、建て替え工事は解体して撤去します。

▼建て替えとは


建て替えは、新築とほぼ同義で用いられます。今のお住まいを解体・撤去して、土地をいったん更地(建築物が何もない状態)に戻し、新たに家を建てます。

建て替えは「改築」とも呼ばれます。ただし、改築は「従前と同様の用途・構造・規模のものに建て替える」というニュアンスを含んでいます。

▼住み替えとは


新しい家を見つけて、引っ越しすることを「住み替え」と言います。つまり住み替えは、リフォームや建て替えと違い、住所が変わります。

引っ越し先の選択肢は「新築分譲住宅を買う」「土地を買って、注文住宅を建てる」「中古住宅を買う」などが考えられます。

比較2:設計の自由度は?



設計の自由度は、どうでしょうか?

一概に言えませんが、自由度が高い順におおむね「1.建て替え、2.リフォーム、3.住み替え」になるでしょう。

▼建て替えの設計自由度


建て替えの設計の自由度は、新築と同等です。ご予算や法規の制約はあるものの、基本的に自分の好みに合わせて設計できます

今のお住まいの住宅性能(省エネ性や耐震性など)に不満がある、あるいは大幅な改修となる場合は、リフォームより建て替えが向いているでしょう。

▼リフォームの設計自由度


リフォームは骨組みを残すため、設計する際にさまざまな制約を受けます。たとえば、階段や耐力壁(地震等に耐えるための壁)の位置は、変更するのが困難なケースがあります。

また、骨組みの老朽化が激しい場合は、そもそもリフォームでは対応できないケースもあります。

▼住み替えの設計自由度


新築分譲住宅や中古住宅を買ってそのまま住む場合の設計の自由度は、ゼロです。その代わり、購入したあと短期間で引っ越しできますので、新生活への移行がスムーズです。

購入と同時にリフォームする場合は、リフォームなみの自由度で設計できます。新たに土地を買って家を建てる場合は、建て替えと同様の自由度で設計できます。

比較3:初期費用(建築コスト)は?



初期費用(建築コスト)は、どうでしょうか?

これも一概に言えませんが、初期コストが高い順におおむね「1.住み替え、2.建て替え、3.リフォーム」になるでしょう。

▼住み替えの初期費用


住み替えの場合は、購入時に「土地代+建物代」と諸費用がかかります。そこから、現在のお住まいの売却益を引いた金額が住み替えの初期費用になります。

では、土地代や建物代、そして諸費用の目安はどのくらいなのでしょうか?

令和4年度の住宅市場動向調査によると、注文住宅の住み替え費用の全国平均は以下のとおりです。

  • 建築資金+土地購入資金:5,436 万円
  • 延床面積の平均:123.5㎡

注文住宅は、土地を自分で手配して、その上に家を建てます。この調査結果では、注文住宅に住み替える場合「約44万円/㎡」の費用がかかっています。

一方、新築分譲住宅の住み替え費用の全国平均は、以下のとおりです。

  • 購入資金:4,214万円
  • 延床面積:108.1㎡

分譲住宅は、土地と建物をセットで購入します。同じくこの調査結果では、分譲住宅に住み替える場合「約39万円/㎡」の費用がかかっています。

中古戸建て住宅の場合は、どうでしょうか?

  • 購入資金:3,340万円
  • 延床面積:107.1㎡

中古戸建て住宅に住み替える場合、全国平均で「約31万円/㎡」の費用がかかっています。

▼建て替えの初期費用


建て替える場合は、土地代がかかりません。建物工事は、新築と同等の費用がかかります。目安は以下のとおりです。

  • 30坪の建て替え:2,500万円~(建物本体価格)
  • 40坪の建て替え:3,000万円~(建物本体価格)

建て替えは、付帯工事費や諸費用が高額になりがちです。たとえば、現住居の解体費用や、工事中の仮住まい費用がかかります。

令和4年度の住宅市場動向調査によると、建て替え費用の全国平均は以下のとおりです。

  • 建築資金の総額:4,487万円
  • 延床面積:138.8㎡(約42坪)

この費用を平米あたりに換算すると「約32万円/㎡」になります。新築に住み替える場合に比べて、コストダウンできます。


▼リフォームの初期費用


リフォームは、ご予算に合わせて工事箇所を限定できます。手をかけようと思えばいくらでもかけられますので、費用は工事ごとに大きな違いがあります。

大規模なリフォームになると、建て替えより手間がかかり、高額になる場合もあります。目安をご紹介しましょう。

  • 30坪の大規模リフォーム:1,500万円~
  • 40坪の大規模リフォーム:2,000万円~

大規模リフォームも、建て替えほどではないものの、解体工事や仮住まいの費用が必要です。

とは言え、比較的建築コストの調整がしやすいですので、できるだけ低予算でお住まいを更新したい方にはリフォームがおすすめです。

比較4:工事期間は?



工事期間は、どうでしょうか?

やはりケースバイケースですが、工事期間が短い順におおむね「1.住み替え、2.リフォーム、3.建て替え」になるでしょう。

▼住み替えに必要な期間


住み替えは、購入と同時にリフォームをしない場合は、工事の必要がありません。新しい家を見つけたら、すぐに引っ越しできるケースも少なくないでしょう。

ですから住み替えは、早ければ3か月程度で引っ越しまで完了できます。なるべく早くお住まいを更新したい方には、住み替えがおすすめです。

ただし、現住居の売却益を新居の購入に充てる場合は、買い手が見つかるまで先に進めません。気に入る新居が、なかなか見つからないケースもあります。

▼リフォームの工事期間


リフォームは、工事の規模により工事期間の幅があります。数日で終わる小規模の工事から、半年近くかかる大規模な工事までさまざまです。

大規模リフォームの場合は、おおよそ「1~5か月」が目安になります。

▼建て替えの工事期間


建て替えは、解体工事が必要になるため、工事期間が長くなりがちです。4~7か月程度は見ておくほうがよいでしょう。

また、建て替えでは必ず建築確認(行政の建築許可審査)をおこなわなければなりません。一般的な木造住宅の場合、この申請を通すのに2週間から1か月程度かかります。

ですから、スタートから引っ越し完了までの期間は、リフォームより建て替えのほうが相当に長くなります。

リフォーム・建て替え・住み替えのメリットとデメリット

つづいて、リフォーム・建て替え・住み替えをメリットとデメリットの観点から比較してみましょう。あなたの価値観に合ったものがないか、チェックしてみてください。

リフォームのメリットとデメリット



まずは、リフォームのメリットとデメリットをご紹介します。

▼リフォームのメリット(魅力)


リフォームは、建て替えや住み替えに比べて予算を抑えられる可能性があります。なぜなら、既存住宅の生かせる部分を残すことで、材料費や工賃のコストダウンが図れるからです。

依頼先の選択肢が多いところも、リフォームの魅力です。リフォーム専門会社の他、ハウスメーカーも候補になります。

また、愛着のある「わが家」を全解体せずに済みますので、心理的負担も軽いでしょう。建て替えと比べると工事期間も短いですので、仮住まいの負担も少なくて済みます。

▼リフォームのデメリット(注意点)


リフォームは、工事規模が大きくなるほど既存部分の再利用が減るため、建て替えとの費用差が小さくなります。条件しだいでは、建て替えたほうが安く収まることもあるでしょう。

また、リフォームは既存住宅の一部を残すことになりますので、設計の自由度が建て替えより制限されます残した部分は耐用年数が短いままですので、そう遠くない将来、更新が必要になります。

性能の向上も、建て替えや住み替えより困難です。たとえば省エネ性や耐震性、間取りなどを改善したい場合は、リフォームより建て替えや住み替えのほうが簡単に達成できる場合があります。

建て替えのメリットとデメリット



つづいて、建て替えのメリットとデメリットをご紹介しましょう。

▼建て替えのメリット(魅力)


建て替えの最たるメリットは、すべて新品になるところでしょう。根本的な部分から、今のお住まいのご不満を解消できます。

たとえば「もっと地震に強い構造にしたい」「2階建てを3階建てにしたい」「夫婦ふたりで暮らしやすいコンパクトな間取りにしたい」といったご要望も、リフォームより制限少なくかなえられます。

住宅ローンを利用できるところも、魅力のひとつでしょう。住宅ローンは、基本的にはリフォームローンより「高額・長期・低金利」の借入ができます。住宅ローン減税も利用できます。

▼建て替えのデメリット(注意点)


建て替えは、コストが高くなりやすいので注意が必要です。新築コストだけでなく、2回の引っ越しや工事期間中の仮住まい、解体した家の滅失登記などの諸費用も必要です。

また、慣れない仮住まいが長くなるため、心身への負担が大きいところもデメリットと言えるでしょう。建て替えは、気力や体力が充実しているうちに取り組まれたほうがいいでしょう。

既存不適格への注意も必要です。既存不適格とは「建築時には適法でも、法令の厳格化に伴い、現行法では不適格になってしまった状態」のことを指します。

参考:ウィキペディア「既存不適格」最終更新 2024年1月28日 (日) 07:38

お住まいが既存不適格建築物になっている場合は、新築時は現行法規に従う必要があるため、従前の建物規模で建てられなくなるケースがあります。

たとえば、こんな場合です。

建ぺい率や容積率が下がった建築面積や延床面積の上限が引き下げられているため、建て替えると以前より小さな家になる
前面道路の幅が4mに満たない土地敷地(土地のうち建物を建てられる部分)を道路の中心線から2m後退(セットバック)させる必要がある
道路に2m以上接していない土地接道義務(建築基準法 第43条)を満たさないため、原則的に建て替えできない


既存不適格建築物は、問題を解消しない限り住宅ローンを使えない可能性が高いでしょう。ですから、売却も難しくなります (買い手が住宅ローンを使えない)。

住み替えのメリットとデメリット



つづいて、住み替えのメリットとデメリットをご紹介しましょう。

▼住み替えのメリット(魅力)


住み替えなら、ライフステージやライフスタイルに合わせて住む地域を変えられます。

たとえば「結婚して夫婦で暮らし始めたときは職場の近くに住み、子どもができて家族が増えたら学区や治安がいいところに引っ越す」といった住み替えが可能です。

さらに、子どもの独立後は、老後を見据えて生活の利便性がよいところへ引っ越すこともできるでしょう。

▼住み替えのデメリット(注意点)


住み替えで注意したいのは、手続きの煩雑さです。現住居の売却と新住居の購入を、同時、あるいは連続して進める必要があります。

まとめ:リフォーム・建て替え・住み替えに迷ったら、ご相談ください

「リフォーム・建て替え・住み替え」の違いや、それぞれの長所・短所、そして選択する際の判断基準をご紹介しました。あなたに合うマイホームの更新方法は、見つかったでしょうか?

最適な答えは、人によって変わります。本稿の限られた情報だけでは「結局、私にはどれが一番適しているのだろう?」と迷われた方もおられるかもしれません。

そんなときは、ぜひ東急株式会社「住まいと暮らしのコンシェルジュ」にご相談ください。私たちと一緒に、マイホームの更新に関するお悩みを解決しましょう。