住まいと暮らしのコンシェルジュは、令和3年度も『東京都の空き家ワンストップ相談窓口』に採択されました。「相続した実家が空き家になっており、どうすればよいか?アドバイスが欲しい」等のご相談も数多く寄せられています。
ご両親が住んでいらしたご実家をすぐに売却することを躊躇われるお気持ちも理解できます。しかし、住む予定のないまま空き家にしておくと、ご近所にご迷惑を掛けないためのメンテナンス費用も掛かりますし、固定資産税も払い続けなければなりません。
古い空き家をそのままにしておくと、家屋はますます傷み、台風がくる度に「お隣に瓦が飛んでいないか、アンテナが落ちていないか…」など心配になってきます。火災の不安もあるでしょう。また最近は、コロナ禍で外出がままならない為、離れた場所にある空き家の管理が負担だというご相談も増えています。
2015年5月に施行された『空家対策 特別措置法施行』により、老朽化した建物が倒壊しそうなっていたり、立木が生い茂っていたりして、近隣住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしている場合は、『特定空家等』に認定され行政が所有者に助言または指導を行います。
この助言や指導に応じない場合、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、固定資産税が6倍程度になる場合もあります。
【外部リンク】国土交通省HP ~空き家対策に取り組む市区町村の状況について~
『空き家の実家』はそのままにせず、『賃貸』『売却』と活用できる方法を検討しましょう。
コンシェルジュでは、賃貸と売却ともに比較検討をお手伝いいたします。『賃貸』した場合の収支計画と『売却』した場合の手残り金額の両方を同時にご確認頂けます。
空き家相談事例①「行政から通知が…」
✤家屋:築60年、2年前から空家
✤所有者(登記名義):父(20年前に逝去)
✤相続人:5名(70歳・80歳代)
✤相談者:長女の娘
【空き家になった経緯と相談のきっかけ】
父の逝去後、同居していた三男が独りで暮らしていたが、2年前に施設に入居した。区の都市環境部から「建築物およびその敷地の適切な管理促進について」という書類が届き、長女が驚いて区に連絡をしたところ、「東京都の空き家ワンストップ相談窓口」としてコンシェルジュを紹介された。
【状況】
建物は窓ガラスが割れ、雨漏りもある。5人の相続人は70・80歳代と高齢で相続の話し合いは行われていないが、相続人とその親族に居住希望者はいない。売却して皆でわけるのが良さそうだが、まず何をすれば良いか。
【解決への流れ】
まず、コンシェルジュに来店された相談者に窓口になっていただき、「売却してお金を皆でわける」ことについて相続人全員の同意を確認しました。そして、コンシェルジュの提携不動産会社3社に依頼して、売却査定報告をしていただきました。3社の査定報告から、今回のケースは一般の方に売却すると敷地内の擁壁が今後問題になる可能性があることがわかりました。そのため、住宅買取専門業者に売却する方針で商談を進めることにしました。
次に、相続手続きと売却について税理士と司法書士に相談をしました。
打合せの結果、譲渡益税を考慮して、同居していた三男が不動産全てを相続し、売却したお金を皆でわけることになりました。三男は2年前まで相続空き家に居住している等「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が使える諸要件を満たしていた為です。この特例を利用したうえで、三男が他の共同相続人に代償金を支払う「代償分割」相続にして、遺産分割協議書の作成と相続登記は司法書士に依頼しました。
売却時には、解体費用が発生しました。木造住宅除去工事支援制度の助成が受けられる地域のため、解体費用のほぼ半額が助成金で賄われ、関係者全員が納得できる売却と遺産分割ができました。
【ご相談者様の感想】
売却提案を、一度に3社から話が伺えたことがとても良かった。1社の査定だけだと不安だったが複数の会社の話を聞くことで、皆が納得でき売却の話をスムーズに進めることが出来た。
解体費用助成金について教えてもらえたり、無料税務相談を利用できてたいへん助かった。自分たちだけでは思いつかなかった分割方法を、税理士などの専門家を交え、客観的な視点からアドバイス頂き、落ち着いて検討することができた。
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ご家族や物件の状況により、解決策は様々です。
空き家をどうすれば良いか悩まれている方は、まずはコンシェルジュにご相談ください。
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「仕事が忙しいし、今すぐどうこうしなきゃならないものでもないしなぁ。」
「一体なにから手を付ければいいの。どうすればいいのかも思い浮かばない。」
億劫が先に立ってしまい、ついついそのままにしていませんか?
住まいと暮らしのコンシェルジュでは「東京都の空き家ワンストップ相談窓口(※)」として、空き家に関するご相談を承っております。
また「将来、空き家になるかも・・・。」といったご相談もお受けしています。
スムーズにお話が進められそうなケースが多々あります。
※平成31年度 東京都空き家利活用等普及啓発・相談事業(本事業の期限は2020年3月までとなります)
以下の3点を把握していただくとよりスムーズにご相談いただけます。
1.権利関係はどうなっていますか?
「空き家」の詳細について把握できていないご相談者が多くいらっしゃいます。
土地建物の謄本や権利書の所在など、一度確認なさってみてください。
また、固定資産税納税通知書や課税証明などの税金関係の書類も役立ちます。
2.これまでの経緯は?
「若い頃だから興味もなかったし、何も知らない。」という方がほとんどです。
親御さんが所有された時の経緯や状況などは知る由もないでしょう。
「確か〇〇だったはず。」といった記憶は、話すほどにあやふやになりがちです。
聞き知った事柄や経緯などがありましたら、メモ書き程度でも構いません。
書き出しておきましょう。
3.相続人(ご相談者)のお気持
ご相談者によって、背景は千差万別。
「こうしたい!」とお気持ちが決まっていらっしゃる方は少数です。
コンシェルジュは第三者の立場で、「どうしたらよいの?」というもやもやしたお気持ちを伺います。
空き家の資料などがなくても大丈夫です。
まずはお話をお伺いして、少しずつでも前に進むお手伝いをさせて頂きます。
お客様のもやもや解消に少しでもお役に立てたら、の思いでお待ちしております。
2020/06/01
方針でお悩みの方2020/06/01
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近年、空き家が増えて問題になっています。2019年4月に発表された住宅・土地統計調査では、2018年の空き家の数は846万戸、空き家率は13.6%と過去最高を更新しました。
空き家率を都道府県別にみると,最も高いのは,山梨県の21.3%で,次いで和歌山県の 20.3%ですが、東急線沿線を含む東京都・神奈川県も他の都道府県と比較すると空き家率が低いとはいえ東京都が10.6%, 神奈川県が10.7%となっています。
空き家を放置すると責任を問われることがあります。
屋根瓦や窓ガラスが飛散したり、ブロック塀が倒れたりして、他人が怪我をした場合、空き家の所有者の責任となり、損害賠償を問われることもあります。
治安上の不安もあり、人の住んでいない家は、リスクがいっぱいです。
適正に管理し、将来的に居住する見込みがないのであれば、早期の売却等の対応をおすすめします。
立地によっては売却ではなく、賃貸にしたり、有効活用することも可能です。賃貸住宅の建築は数千万円~数億円の投資が必要になります。
また、駐車場や土地賃貸のように初期投資を抑えられる手法もあります。但し更地にする場合、固定資産税がUPすることに注意しましょう。更地は小規模宅地用地の「評価額×1/6」の該当ではなくなるためです。
間口が狭いなど敷地形状が賃貸住宅に適さない場合はトランクルームという選択肢もあります。
立地によってできる場合とできない場合がありますので、まずは本サービスにご相談ください。提携しているハウスメーカーや駐車場運営会社に確認します。
また、建替えやリフォームをしてご自身で住むという選択肢もあります。
本サービスでは東急線沿線の物件だけではなく、ご実家等の地方物件のご相談も可能です。(※提携パートナーの店舗がある場合に限ります)
そのほかにも、空き家を放置すると、相続などにより利害関係者が増えて、所有者の確認や、話し合いが困難になる可能性もあります。
「とりあえず保留」になっている空き家があれば、まずは相談しましょう。
ひとつではない「解決策」ご提案いたします。
2020/06/01
不動産売却2020/06/01
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次から次と押し寄せる台風に困惑の秋です。
最近は雨漏り等のご相談をいただくことが多く、リフォーム会社も対応に追われている状況です。
台風の時自宅はともかく、空き家になったご実家が心配だった方もいらっしゃったのではないでしょうか。
交通網もストップし、避難警報が鳴り響く暴風雨の中、様子を見に行くことは困難でした。
今回の台風は、豪雨や強風により、浸水、冠水の他、屋根や外壁が剥離、窓ガラスの破損、建物の傾きや設備の老朽化による倒壊など甚大な被害が出ました。
また空き家はこのような災害時に、危険を及ぼすことになりかねません。
先日このような問い合わせがありました。
「まだ相続の手続き前で登記を変更していないのですが、空き家になった戸建の実家は解体できるのでしょうか?」
所有者であるご両親が生存していて、認知症で判断能力がない場合は、後見人の許可がいるなど手続きが非常に大変なのですが、相続発生によるこのケースですと、解体はできるのです。
ただし、以下の点にご注意ください。
① まだ住宅ローンが残っていて、建物に金融機関などの抵当権が設定されている場合の解体は、抵当権者の事前の承諾が必要になります。ローン等はなくても抵当権抹消登記が忘れられているケースもあります。その場合も抵当権者の承諾が必要ですので注意しましょう。
② 建物を解体したら1か月以内に建物滅失登記をする必要があります。(不動産登記法57条より)
この登記を怠ると10万円以下の過料に処される場合がありますし(不動産登記法164条より)、建物に対して引き続き固定資産税が課税されてしまいます。
この登記は、管轄の法務局にて無料で申請可能です。申請書は法務局のHPからダウンロードすることも可能です。登記簿謄本を取得される場合は所得費用(1通1,000円程度)が必要になります。
③ 建物滅失登記は、まだ相続登記をしていない場合も相続人の一人が申請できます。取り壊す建物の名義を相続人名義に変える必要はありません。
ただし、相続人が複数いる場合は、取り壊すかどうかきちんと協議をした上で行いましょう。全員の同意を得ずに進めてしまうと、後々トラブルになる可能性があります。
地方銀行やJA、信用金庫などの金融機関では「建物解体ローン」を取り扱っています。
借入金額はだいたい300~500万円位まで、金利は1.5%~2%台のようです。
費用の面で躊躇されていた方は、低金利のうちにローンを利用するという方法もあります。
解体をすると更地になることにより、土地の固定資産税は最大6倍になりますが、いざ売却という時に要件を満たせば3,000万円の特別控除の適用が受けられます。
それはどのような要件でしょう?
2023年12月31日までに、相続、遺贈により取得した空き家を一定の条件に基づき売却した際、譲渡所得から3,000万円を特別控除する制度です。
・相続日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに第三者に譲渡すること
・昭和56年5月31日以前に建築されたこと
・売却代金が1億円以下であること
・耐震性のない場合は耐震リフォーム(なかなか難しいですね!)をするか、取り壊し更地にすること
・相続開始の直前において、被相続人以外に居住している人がいなかったこと(一定要件のもと老人ホーム等に入居していた場合も対象)
詳しくはこちらをご覧ください。
国税庁:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
国土交通省:空き家の発生を抑制するための特例措置https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html
気を付けなければいけないことは、例えば「両親が亡くなって3年超放置しておくと、3,000万円控除は使えない」ということです。
また、「耐震リフォームをしてから引き渡す」というのはあまり現実的ではありませんから、大半が更地にして引き渡すことになるのです。
ご自身のみでは決められず、ご兄弟など相続人同士での協議になるかと思います。この機会に方向性を話し合われてみてはいかがでしょうか。
もし、相続や税金等でご心配なことがございましたら、コンシェルジュで開催しています無料税務相談会をご利用ください。
※2019年10月時点の情報に基づき記載しております。
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不動産売却2020/06/01