古くなった実家を、親が自分の資金力で建て替えようとすると、「ローンを長く組めないし、老後の資金も残しておきたい。」という問題が出てきます。同じ頃、子世帯がマイホームを欲しいと思っても「自分達で土地を買って注文住宅を建てると、予算をオーバーしてしまう。」 という悩みが出ることがあります。
そんな時、「二世帯住宅」を建てるという選択肢を考えてみませんか。
二世帯住宅には下記のようなメリット、デメリットがあります。
■メリット
・加齢期の生活サポート
・土地・建築資金の節約
・家事・育児の協力
・旅行中の防犯を心配しないで済むので、安心して旅行に行ける
・孫と触れ合うことで生活に張りが出る
■デメリット
・生活のリズムが違う
・両世帯で共用する部分が多いとプライバシーが保てない
私自身も数年前に、親世帯が1階、子世帯が2階の「上下分離型2世帯住宅」を建てました。
80歳代の両親は、通常の身の廻りのことは自分達で充分出来ていますが、重いものを運んだり、体調が悪い時に病院へ付き添ったりと、子世帯が近くにいればサポートできることもあるので安心して暮らせています。
一方で子世帯も、洗濯物を干しっぱなしで出かけても雨が降ればしまっておいてもらえるので、天気が変わりそうな日でも安心して外出できます。
もちろん美味しいものを買った日は半分届けるなどの気遣いは必要ですが、お互いに安心して暮らせる距離感の二世帯住宅はお勧めです。
そしてなにより相続時の節税対策になるのです。
二世帯住宅の、相続時の経済的メリットとは?
二世帯同居の場合、土地の評価額を抑えて相続税を軽減できる『小規模宅地の特例』が適用されるケースがあります。
『小規模宅地の特例』…「聞いたことはあるけどよく判らない」という方は多くいらっしゃると思います。
一言で説明いたしますと、諸条件を満たす場合、相続した『土地』の評価額が80%減額される、という特例です。
土地の評価額が80%減額されるのですから、
例えば、
相続人が一人で、相続した300㎡の土地の評価額が1憶円の場合
■ 1憶円 ー 基礎控除3,600万円(*1)= 6,400万円
*1:遺産に係る基礎控除額:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
小規模宅地の特例を使わなかった場合の相続税は
■6,400万円 × 30%(*2)- 控除額700万円 = 1,220万円となるのですが…
*2:法定相続人の取得金額が5,000万円超~1憶円以下の場合、相続税の税率は30%
小規模宅地の特例を使った場合の相続税は
■1憶円 - (1憶円×80%) = 2,000万円
2,000万円 - 基礎控除3,600万円(*1)= -1,600万円、
つまり課税遺産額がマイナスとなり、土地分の相続税がかからなくなります。
このように「小規模宅地の特例」が使えることは大きなメリットになりますが、条件の確認をしっかりしておく必要があります。
相続税対策も考えながら二世帯住宅を建てようとお考えの方は、無料の税理士による税務相談もご利用頂けますので、一度コンシェルジュにご相談にいらして下さい。
関連するコラム
【実例紹介】リフォームか、 建替えか?二世帯住宅を検討!
【実例紹介】リフォームか、 建替えか?二世帯住宅を検討!
都内にお住まいのA様。お子様が生まれるのをきっかけに、住まいをどうするか、とご相談にいらっしゃいました。
当初はマンション購入を検討していらっしゃいましたが、都内は価格が高く、ご夫婦で安心して買える価格だと、手狭になってしまう、ということが分かり、ご家族でご相談された結果、ご実家を二世帯にしてご両親様と一緒に住もう、という方針に決まりました。
そこで問題になったのが、ご要望はリフォームで叶うのか、建替えした方がいいのか。
実際にどのように検討を進めたのかご紹介いたします。
コンシェルジュより、提携しているハウスメーカー・工務店などの建築会社、リフォーム会社をそれぞれご紹介し、リフォームがいいのか、建替えがいいのか、同時に検討を進めました。事前に下記ポイントをご説明させていただき、まだ方針を検討する段階なので、1社ずつご紹介しそれぞれの案を検討しました。
■法的に建替えのできる土地か
建築基準法や条例の改正で「建替えることのできない土地」になってしまうことがあります。
道路の幅や、道路が敷地に接している長さが足りない、などがよくありますので注意が必要です。
■建替えた場合、建物の広さが十分に確保できるか
建築基準法や条例の改正で「今より小さな家しか建たない条件になってしまった場合」です。建蔽率・容積率が変わってしまったり、道路が狭く、セットバックといって道路に土地を提供する必要があり、土地が小さくなってしまったりすることもあります。
建築会社は、土地や道路などの法的条件をお調べくださり、ご希望に合った間取りのご提案と概算の費用のご提示をしてくださいました。
リフォーム会社は、実際にご実家を現地調査・耐震診断をしていただき、プランのご提案、お見積りのご提示をしてくださいました。
検討の結果、A様の場合は、リフォームの費用が思ったよりも高額になってしまい、またご両親様のスペースが十分に取れないことが分かり、今回は建替えでお話を進めよう、ということになりました。
方針が決まりましたので、今度は建替えの会社をどこにするか、ご検討をスタートします。
すでにご紹介させていただいた1社に追加して、2社ご希望の会社をお選びいただき、ご検討を進めます。
各社とも、趣向を凝らしたご提案をしてくださり、二世帯住宅ならではのいろいろなアイデアが出てきました。
ご両親様世帯、A様世帯、それぞれのお考えが、なかなかまとまらない時も、コンシェルジュが間に入り、ご希望を整理するお手伝いをさせていただきました。
最初にご相談をいただいてから、5か月ほどかかりましたが、ご両親様、A様ご夫婦それぞれがご納得のいくご計画ができ、建築会社を決めることができました。
住まいと暮らしのコンシェルジュでは、お住まいをどうするか方針を決める最初から、お手伝いをしております。お困りの際はぜひご相談ください。
2020/12/07
注文住宅2020/12/07
関連するコラム
【実例紹介】2世帯リフォームをされた実例をご紹介いたします
【実例紹介】2世帯リフォームをされた実例をご紹介いたします
中学生と高校生のお子様のいる4人家族A様ご夫婦が、お子様たちの個室の確保のために家の購入を検討されていました。
都内の戸建てに住むご主人のご両親に家の購入のお話をしたところ、実家をリフォームして一緒に住むことを提案されたそうです。
そこで、A様ご夫婦より実家をリフォームし2世帯住宅に出来るかどうか、コンシェルジュにご相談いただきました。今回は、ご主人のご実家で親世帯との生活をする2世帯リフォームの流れをご紹介させていただきます。
一緒に暮らす2世帯の関係性や生活スタイルにより、それぞれのご家族に合った間取りを選ばれています。
2世帯住宅の間取りは「一体型」「一部共有型」「完全分離型」の3種類に分けられます。
■一体型
親世帯と子世帯が一緒の一つの空間として生活します。お風呂・キッチンなども共有するため工事費を抑えることもでき、光熱費や家事の負担を軽減できます。共有部分もプライベート部分も両世帯で検討・打ち合わせを行います。
■一部共有型
一部の生活空間を共有している間取りです。玄関だけを共有する、玄関とお風呂を共有、キッチンのみ共有など、どの部分を共有にするのか両世帯で話し合い決めていきます。
その他のプライベート部分の打合せは個別に行います。
■完全分離型
玄関も設備機器もすべて分離されており、同じ屋根の下に住みますがプライバシーの確保ができます。
1階を親世帯・2階を子世帯の住まいとする「上下分離」と、
それぞれに階段を設け「左右分離」にするパターンがあります。
全体の区画割は両世帯で行い、その後は世帯ごとに間取りの検討・打ち合わせを行います。
2世帯の間取りは、親世帯がご夫婦どちらの親御様なのかにより、選ばれる間取りや打合せの進め方が違ってきます。
まずは、A様ご夫婦にはご実家の平面図などをお持ちいただき、2世帯同居についてのお考えをお聞きいたしました。
その後、現地調査をしながら、親世帯と子世帯のお考えや生活スタイルをお聞きし、建物の構造的に間取り変更が可能か耐震診断も検討し確認していきました。
両世帯間でお互い直接は話しにくいことも、リフォーム会社の担当者とコンシェルジュには話していただけました。両世帯のお話を丁寧にお聞きすることが、良い提案に繋がったと思います。
リフォームプランを提案いただき打合せを繰り返し、A様は左右・上下複合完全分離の間取りを選択されました。その後の打合せは、親世帯・子世帯と設備や仕様について行います。
親世帯の仮住まい期間が最短になるよう、工事のスケジュール・引越しの手配も連携して行いました。子世帯のお子様の新学期にも配慮していただくことで、両世帯のストレスを最小限にすることも出来ました。
いずれは親世帯の老後のことを考えていかなくてはいけないと感じていたA様ご夫婦は、
今回、2世帯リフォームをされるために両世帯の生活の仕方や考えを話しあったことで、お互いへの思いを認識でき良かったとお話されていました。
コンシェジュではリフォームの間取りのご相談だけではなく、親世帯所有の土地・建物へのリフォームの費用負担など、税理士の先生からアドバイスをいただく税務相談もお手伝いさせていただきました。
このように、両世帯で住まい方を話し合い、生活を見直すことで、同居の安心感とプライベートの充実を両方実現でき、楽しい2世帯生活を過ごしていらっしゃいます。
親世帯との暮らし方や2世帯リフォームなど、お気軽にコンシェルジュへご相談ください。ご納得いく解決策をコンシェルジュと一緒に考えていきましょう。
2020/10/02
リフォーム2020/12/07