横浜市では省エネ住宅に関する相談に対し、アドバイスを行う「省エネ住宅相談員」という制度があります。私たちコンシェルジュの中にも登録されているスタッフがおります。今回は
昨年11月に開催された「横浜市省エネ住宅相談員登録講習会」での、「省エネ住宅」についての説明や専門家による講演の中から特に印象に残った内容をお伝えします。
断熱性のない家は、道路よりも危険?
現在、交通事故よりもヒートショックなど住宅の屋内の寒暖差が原因で亡くなる方の数が上回っているという研究結果から「断熱性のない家は、道路よりも命の危険性と隣り合わせである」という怖いお話しから始まりました。
このような家の中でのリスクを防止するためには、新築住宅に対して高い断熱性能が求められることは勿論ですが、ストック数が多い既存住宅(中古住宅)の環境改善対策が重要だと考えられています。
既存住宅を建て替えずに「省エネ」かつ「健康」な住まいの基本となる「住宅全体の断熱性の確保」に取り組むための補助制度なども、各行政で実施されています。
断熱性能が高い住宅の普及のためには、住宅の所有者が「省エネルギー住宅の良さ」を理解することと同時に、住宅を計画し建築する建築関連の企業も積極的に技術力を向上していくことが必要不可欠です。
様々な住宅に関するご相談を頂く私たちコンシェルジュも、住宅の性能向上についてわかりやすく説明できるよう今まで以上に知識を深めていく必要があると感じました。
省エネ住宅で健康になる
住宅の省エネ化は、高断熱・高気密化を目指すところから始めます。
窓や外壁、屋根などの断熱性能を向上させて出入りする熱を減らし、室内全体を快適にします。
そうすると昼夜や部屋間の温度差が小さくなりますので、ヒートショックのリスクが抑えられ、また結露によるダニやカビの発生も減らすことができます。
その他にも、午前0時の室温が平均18℃以上の暖かい家に住んでいる人は、高血圧の発症率が低いという調査結果もありますし、暖かい家の居住者の方が身体活動量が大きい傾向にあり、認知症の発症を減少させるのではないかといった研究もされているようです。
国は、「省エネ」と再生可能なエネルギーを創り出す意味の「創エネ」を組み合わせて年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにする
「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)」を、2030年までに新築住宅の平均で実現する目標を掲げています。
高断熱・高気密化した住宅は、夏場は外から熱を入れず、冬場は内から熱を逃がしません。
そのため、冷暖房のエネルギー消費量を削減する効果が見込めます。建築的な配慮をした上で、高効率な空調や換気、給湯、照明といった設備機器を採用すれば、エネルギー消費量をさらに減らせます。加えて太陽光発電など再生可能エネルギーを導入すれば、ZEHも可能になるのです。
家庭でのエネルギー需要が減ると、国全体での供給も抑制できます。
日本では地球温暖化による自然災害の増加および局地化・激甚化が急速に進むなか、温室効果ガスの削減も課題とされていますが、省エネ基準に関しては、他の分野に比べて住宅についての行政の動きがやや遅れているようです。
以上のように、行政側からも様々な指針が示されていますが、これからは、自分たちの健康や資産は自分たちで守る、という考えが必要なのかもしれません。住宅の性能に関して責任を取るのは、あくまで住宅という不動産の所有者である私たち自身であるという心構えでいることも大切だと思います。
新築住宅を購入する、中古住宅を購入してリフォームする、今の住まいを建て替えやリフォームする場合でも、住まい手が自身の「健康や快適さ」を理解し、その実現のために工夫していくかが大切になります。
そして、それを適切に実現していけるような専門家と協力していくことが必要になります。
私たち住まいと暮らしのコンシェルジュもお客さまにとって「健康に優しい快適な暮らし」を実現できるようなサポートができるよう、努めていきたいと考えています。
出典:よこはま省エネルギー住宅アカデミー「柔らかな教科書」(横浜市建築局住宅部住宅政策課発行、横浜市住宅供給公社編集)
【外部リンク】省エネ住宅に関する横浜市の取り組み(3.資料のダウンロード)
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