受け継がれる日本の家づくり

受け継がれる日本の家づくり

伐採は新月に

「家をわら、木、レンガを積んで作り、そしてわらと木の家はオオカミに吹き飛ばされました。」という民間伝承によるおとぎ話があります。
これは時間と手間をかけた方が、安全でいざという時役に立つという教訓のようです。

現在の家は木造、鉄骨造、コンクリート造などがありますが、どれもオオカミに吹き飛ばされる家ではありません。地震にも、雨にも、雪、風にも耐えうる構造です。

構造はとても重要ですが、素材はどうだろうと考えてみたことはありますか?

例えば、木ですが、大地から生え育っていき、そして伐採をして加工します。しかしながら同じ工程を経ていてもすべての木は同じではありません。木は育つ環境や伐採する時期がとても大切で、とくに伐採についてはいつでも良いように感じますが、実は伐採する日がとても重要だと言われています。

伐採は新月の日が良いとされており、日本古来では耐久性のある「新月伐採の木」を使っていたといわれています。法隆寺などがそうです。

新月は人間の体もそうですがとても引き締まる日で、新月伐採の木は虫も付きづらく腐りにくく長持ちする家をつくるのに適した木といわれています。逆に満月の日に切った木は虫がつきやすく腐りやすいといわれています。

同じ木でも、伐採の時期によって耐久性が変わってくるという事はとても興味深い事です。

伊勢神宮

伊勢神宮では20年ごとに式年遷宮という行事があります。おおよそ、1万本の檜を使います。一番最近では平成25年10月に行われ62回目になるそうです。

神宮の神殿は神明造りの日本最古の建築様式です。1万本の木はいくつかの山から調達しますが何年も計画的に育て伐採、処理して使います。
木も半永久的に供給できるよう自分たちで計画して育てているそうです。伝統と技を継承するためにも20年ごとに仕事を伝承するという事も目的のひとつで、良い木や良い職人を育てるとても良い機会です。

より良い材料とより優れた職人が家を造りあげる事ができれば、本来の長期優良な住宅が自然に出来上がると思います。
このように日本の家づくりが吟味され伝承されていくことが、望ましい家となるのではないでしょうか。