それは一本の電話から
「私は、だまされることはない。私は、詐欺に引っかかることはない。自分は大丈夫!」と過信していませんか。
いつもの毎日、安全な家のなかでも詐欺に遭ってしまう現実があります。
それは、一人暮らしの母への突然の電話から始まりました。
「郵便局の者ですが、あなたの通帳に不正な入金がされていますよ。」と何やら不安をあおる口調です。
その後タイミングよく警察を名乗る人物から「キャッシュカードを不正利用した入金があります。
私が銀行協会へ連絡しておきますね。」と電話が入ります。
なんて親切な対応かしら、と思ったところへ「銀行協会ですが、キャッシュカードの不正利用を防ぐため、新しいカードを作成しますね。暗証番号を教えてください。こちらから担当の者を行かせますので、銀行や郵便局等のすべてのカードを用意しておいて下さい。」と指示されます。
ほどなく自宅に訪ねてきた担当者に、母はキャッシュカードを手渡してしまったのです。
被害に遭わないために
夜になって、母から「昼間あなたに電話したけれど、つながらなかったから、自分で対応できたわ。銀行口座が不正に利用されていたけれど、銀行協会の人にカードを渡したから、大丈夫よ。」と連絡がありました。
「それって、詐欺じゃないの?」と伝えても、まったく信じません。
次々とかかる電話に対応しているうちに、母の判断能力が衰えてしまったようです。計算された犯人グループのシナリオを信じてしまい、暗証番号とキャッシュカードをだまし取られ、近くのコンビニで一日で引き落とせる限度額の預金を引き落とされてしまったのです。
その後しばらくは「どうして、こんなことになってしまったのかしら」と落ち込んでいた母でした。
悪いのは、次々と新しい手口で現金をだまし取ろうとする詐欺グループです。
しかしながら、私たちも対策を講じなければなりません。
急がせる用件は、一呼吸おいて対応するようにし、電話は常に留守番電話にしておくことを徹底することにしました。
また、母へは以前よりも頻繁に、私から様子伺いの電話をするようにしている毎日です。