母の異変と施設選び
父の死去から2年程経った頃、遠方で一人暮らしの母より「家財道具・衣服・現金が盗まれた」と電話が入るようになりました。その都度、思い違いで何も盗まれていないと説明するのですが、同じ話の繰り返しで埒が明きません。遂に自分も親の痴ほう症と向き合う事になるのかと、薄々考えはじめたところでした。
そこへ、ケアマネージャーから今後の方針を打合せしたいので帰省出来ないかと連絡を頂き、電話口で状況を伺うと、母の気力・体力の低下が著しく、今対処しないとこのまま寝たきりになっても仕方が無い様な状態だとのこと…
急遽、実家のある関西に帰省して暮らし振りを見てみると、以前ならヘルパーさんの介護で何とか自立した生活をしていたのに、それが今は食事を取ろうともせず、部屋の中は散らかし放題、一日中寝ているという様子でした。
母にこれからどうしようかと尋ねると「一人で自宅で暮らすのは限界だから、何とかして欲しい」という返答でしたので、施設への入所を提案したところ、「任せる」と言ってくれたのですが、私自身どうすれば良いか分かりません。
そこでケアマネージャーに電話をして、自宅介護のやり方を検討するより、一刻も早く施設を探したいと相談してみましたら、それも選択肢の一つだと肯定的な回答を頂きました。
施設選びの前に
私には妹が一人いますので、母の施設入所についての同意を取るため、
①母の状態
②母の資産と年金額
③平均寿命から施設等に毎月使えるお金
④金銭的に困った場合にお互い助け合う事
この4点を妹夫婦へ説明したところ、妹も母のことを気にしていたようで二つ返事で賛成してくれました。
②については、父の相続から余り時間を経過していなかったため、通帳記帳でスムーズに把握できましたが、年金額を確認するのは、親のこととはいえ何故か少し気が引けたものです。
遠隔地からどのように施設を探すのか
帰省ついでに市役所内の地域包括支援センターへ出向き、現在の状況、目指したい結果を伝えたところ、とんでもなく数多くの施設が記載された一覧をいただけたのですが、その膨大なリストを見ても具体的な事は分からないので、その中から探し出すことは諦めました。
インターネットでの検索もしましたが、矢張り表面的なことばかりで、これも諦めました。
そこで、いろいろな老人施設を紹介してくれる会社がある事を思い出し、連絡してみると、関西にも事務所があるので対応できる旨の返答をいただき、さっそく母と面談をすることになりました。面談では此方の希望を聞くというより、母の状態、経済的な事、希望するエリアを上手く聞き出して下さり、その条件に合いそうな施設を幾つか紹介していただく事になったのです。
後日、希望に近い10施設の紹介を受け、内4件の現地見学を希望したところ、1日で全て見学できるようスケジュールを組んでくれました。
俗に言う、百聞は一見に如かず
施設を見学して思ったことですが、やはり実際に見に行って、はじめて分かることが沢山あるものです。とある大手が運営する施設は、期待していたものの、清掃が大雑把な様で清潔感が無く感じられてしまい、ある準大手の施設では対応して頂いた方の説明が少々分かり辛く、言い間違いが幾つかあり、たまたまその施設やその担当者がそうだったのかもしれませんが、安心して母をお任せするのは難しいなと感じてしまいました。
最後に伺った施設の所在は申し分なく良かったのですが、小規模な会社が運営していましたので正直余り期待せずお伺いしました。訪問してみると、施設長、事務長のお二人の熱のこもった説明と勤務する方全員の明るい挨拶があり、清掃も行き届いており、施設全体が清潔で非常に好感が持てました。
見学を終え、すぐさま妹に見学の感想と私の考えを伝えたところ、母と私が良ければ何も言う事は無いとの返事で、母も異存は無いと言うので、この小規模な会社が運営する施設に入居する事を決心しました。
今回、不動産購入でも必ず物件を見なければ分からないように、老人施設も実際に見なければ分からないものだなと率直に思ったのと、施設選びはサポートしてくれる方がいれば、随分と楽で早く探せるものだと実感しました。コンシェルジュでは、このように数多くの老人施設からご要望にあった物件をピックアップしてくれる専門会社と提携しております。遠方にお住まいのご両親の施設探しも、少しでも効率的に進められたら助かりますよね。
続きがあるのですが、長くなりましたので次回にお伝えできればと思います。
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地方にいる親・実家のことで悩んでいませんか
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東急沿線には地方出身で、首都圏で就職・結婚し、実家に戻る予定がない方も多く住んでいらっしゃいます。住まいと暮らしのコンシェルジュにはそのような方の親や実家に関する相談も数多く寄せられます。
高齢になった親のために築30~40年経過した実家をリフォームすべきか、建て替えるべきか、はたまた介護等を考えてこちらに呼び寄せるべきか。
さらに両親が亡くなった後の実家の管理や売却まで考えると頭が痛い問題ですよね。
介護が必要になった場合、遠距離介護と呼び寄せ介護の選択肢がありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。
【遠距離介護】
メリット:住み慣れた地域で生活できる、地方だと公的なサービスを使いやすい
デメリット:すぐに駆け付けられない、日々の様子を把握しづらい、交通費等の負担、現地の病院や施設の情報が入りづらい、ケアマネージャーと会う機会が限られる
【呼び寄せ介護】
メリット:すぐに駆け付けられる、日々の心身の状況が分かる、交通費の負担がない、情報を得やすい
デメリット: 住み慣れた地域を離れる、友人・知人と疎遠になる
かつては同居介護が多かったので、一緒に暮らせば親も喜ぶと思われている方も多いかもしれません。
しかし、子世帯が住む首都圏に呼び寄せ介護で同居した場合、40代・50代の子世帯は仕事や自身の子育ても忙しく、親は日中ひとりきりで過ごすことが多くなります。近くに知り合いがいなければ、孤独感を感じ、呼び寄せをきっかけに認知症が進んでしまうケースもあります。同居の場合は、一緒に暮らすことでストレスが生まれやすくなることもあるので注意が必要です。
遠距離介護では、親の人間関係を知ることが大切です。日々の様子を把握しづらく、何かあった時にすぐに駆け付けられないため、親戚、近所、友人などを確認し、何かあった時に連絡をとり合える人がいると安心です。
解決策はご家庭の事情によってケースバイケースです。
相談にいらっしゃるお客様の中にも、ご家族で十分に話し合われていないケースもあります。コンシェルジュという第三者が入ることにより、普段話せないことを話すきっかけにもなりますので、お互いの考えや思いをじっくり聞くようにしましょう。
東急線沿線もこれから後期高齢者が増えていきます。老人ホーム事情は地方に比べて更に厳しくなりそうです。もし呼び寄せ介護を検討される場合、シニア施設をご案内してくれる提携会社をご紹介できますので、まずはお話を聞いてみるのもよいでしょう。
2020/02/19
暮らし2020/02/19
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介護が必要になったら(介護サービス申請編)
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いつか考えなければと思いつつ、後回しにしていた事の一つに「親の介護」があります。
一人暮らしをしている母親の体調が、このところ少し悪い様です。買い物や洗濯、食事等の家事の手助けがあれば、もう少し一人で暮らせそうなので、介護保険サービスを利用しようと思いました。
その1 申請をする
実際に介護保険サービスを利用するには、要介護認定を受けなければなりません。
要介護認定を受けるために、要介護認定の申請をします。私は、市のWEBサイトから「介護保険(要介護・要支援)認定申請書をダウンロード(両面)して、記入例を参考に記載しました。記載した申請書と必要書類(母の介護保険被保険者証・私の運転免許証)を用意して、区役所の高齢・障害支援課窓口へ出向き申請をしました。
手続きの最後に、区役所の担当者から「主治医意見書」作成依頼が入った封筒を渡されました。申請書に記載した主治医に「主治医意見書」の作成をお願いします。費用はかかりません。
母は、日頃から複数の病院にかかっているので、どの医師名を申請書に記入するか迷いましたが、主治医は介護の原因となる病気を診ている医師にしました。
その2 認定判定調査のための自宅訪問
申請から2日後、区役所の担当者から自宅訪問の日程調整の連絡がありました。こちらの訪問希望日と摺合せをして、訪問日時が決まりました。
調査項目は、全国共通の74項目の基本調査と概況調査です。日頃の母親の暮らしぶり(一人で外出できるか、預貯金の出し入れを自分自身でしているかなど)や、体の状態(手すりをつたわらずに歩けるか、体の具合はどうかなど)や、精神面等の質問を受けます。
少し緊張気味の母でしたが、1時間位で聞き取りが終わりました。母や私の要望も、お伝えしました。
その3 認定通知の郵送を待つ
認定判定調査の結果や主治医の意見書をもとに、保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が、どのくらいの介護が必要か審査・判定します。区は、介護認定調査会の審査・判定に基づき、要介護の認定を行います。
概ね30日以内に認定結果の通知が郵送され、介護保険証が届くとの事です。要介護認定が受けられれば、いよいよ介護サービスが利用できます。
次回は、介護サービス利用の流れをお話しします。
2020/03/01
暮らし2020/02/19
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シリーズで開催しております「終活セミナー」、今回は第9回目の開催の様子をレポートいたします。
前半は、終活スタイルプランナーであり介護福祉士の資格を持つリビングプルーフ鈴木治美さんに「命の危機が迫ったとき、自分がどうしてほしいか」という想いを伝えるための「人生会議」についてお話をいただきました。
家族が突然倒れて、救急車が到着するまでにすべきこと、病院に到着した後でも家族が決めなければならないことがある。本人にとっては延命治療であるが、家族にとっては救命治療である場合もあります。事前に本人が延命治療の希望について決めておくことも大切かも知れません。
死ぬときに後悔しないように、自分らしく生きるためにも家族と人生会議をする事をお勧めいただきました。
※人生会議とは:“もしも”のときのために、あなたが望む医療やケアについて前もって考え家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取り組みのこと(厚生労働省ホームページより)
具体的に書いてみたい場合は、エンディングノートを利用してみることもよさそうですね。
セミナー内のワーキングでも生きるための覚書を書き出してみたことで、自分らしく生きることを考えるきっかけになるセミナーとなったのではないでしょうか。
後半は、司法書士事務所アルバフォース岡山司さんにより、「私または私の家族が認知症になったら?」についてお話をいただきました。
金融機関は家族による横領を防止するためにも、本人の意思確認ができない場合には預金の引出しなどに応じることはできません。認知症になった場合は意思確認ができないため預金が凍結され、本人のためであってもお金を使うことが出来ず、家族や子供が本人の治療費や施設費など支払うことになります。法定後見制度を利用すると、家庭裁判所の管理の下での財産管理のため安心でき、資産凍結は解凍されます。しかし、一度スタートすると途中でやめられない、専門職の法定後見人就任の場合は費用が発生するデメリットもあると解説いただきました。
認知症対策のための安心の準備には任意後見制度、生前贈与・相続時精算課税制度、民事信託・家族信託のつが考えられ、何が自分または家族にとって良いのか考えていくことが大切なようです。
人生100年時代 認知症対策が大切だということがわかりました。まずは、家族の将来を思い描き行動に移すためにも「家族会議」から始めてみてはいかがでしょうか。
次回は①どんな暮らしをしたい?家編 ②「負動産」にしないために のテーマで開催いたします。
「これから」を、「終活」を通して考えてみませんか?
時代とともに様変わりする家族のかたち。
自由に、自分らしく、こころ豊かな人生の後半戦を生きるには?
気軽に、楽しく、出来るところから早めに準備しましょう!
「終活」をテーマにした、バリエーション豊かなシリーズセミナーを開催します。
終活サービスについて、セミナーの一覧については下記ページをご覧ください。
|開催日時|
2020年12月5日(土)
14:00~15:10 ① いざという時、何が起こる?~人生会議してみよう!
(セミナーNo.17/テーマ「E心の承継」)
15:20~16:30 ② 認知症は他人事?~認知症対策、安心の準備
(セミナーNo.18/テーマ「E心の承継」)
※全セミナーのご案内、テーマ分類については上記リンクの「終活」特設ページをご覧ください
|開催形式|
会場・Webライブ配信(ご予約時にご都合のよろしい方をお選びください)
※会場にてご参加の場合、応募者多数の場合は抽選とさせて頂き、その結果ご参加いただけない場合のみ、開催日の1週間前までにご連絡させて頂きます。
お問合せはこちら(鷺沼駅前店/TEL:0120-273-109)で承ります。
|ご予約|下記フォームまたはお電話(鷺沼駅前店/TEL:0120-273-109)・店頭にて承ります
|費 用|無料
【本セミナーのお申込みは終了いたしました】
あるとき、命の危険が迫った状態で、家族がその人の医療やケアについて決めることになります。
本人の意思が確認できないまま、そのあと多くの家族が「どうして欲しかったんだろう」という思いを抱えることになります。
延命措置やどんな最期を迎えたいか、その時どうなるのかを知ったうえで、希望を記しておきましょう。
・救急搬送されたとき必要な情報
・ある時急に、これだけの決断を迫られる
・本人の意思と家族の意思
・「覚悟」のもち時はいつ?
・どう死ぬかは「どう生きるか」
長く生きる間には、いろいろな場面や段階が生じてくることが想定されます。
あとで困った!とならないために。
もしもに備えることは、「これから」の暮らしに安心と心のゆとりをもたらします。
・認知症の人はどれだけいる?
・自分が認知症になったら
・認知症になったらお金が掛かる?
・実際こんな時に困る
・そのために今から出来ること
【会場でご参加いただく場合のご注意事項】
・開場はセミナー開始15分前になります。
・ご来場の際は公共交通機関をご利用ください。なお、駐車券の発行はいたしかねます。
・新型コロナウイルス感染拡大の状況により、会場での開催を中止とさせていただく場合がございます。
・新型コロナウイルス感染防止のため、人数を制限し開催いたします。ご来場の際はマスク着用のほか、感染防止に関してのご協力をお願いいたします。
【Web配信でご参加いただく場合のご注意事項】
・パソコン・タブレット・スマートフォンのいずれかが必要になります。
・配信はZoomで行います。URLは開催日が近くなりましたらメールでご案内いたします。
・ご利用端末の画面サイズによって、セミナーで配信する資料の文字が見づらい場合がございます。
・参加する方のお顔は映りません。
・ご契約の形態により通信料がかかる場合があります。
【お客様へのお願い】
・セミナー内容の録音や録画はご遠慮ください。
・同業者様のご参加はご遠慮願います。
・配布資料(テキスト及びそれに関連する資料)は東急株式会社および講師に著作権があります。コピー・二次的配布などはご遠慮願います。
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