父が用意していた墓地用地
人生の最後に行きつく場所は、どこでしょうか。
風になって魂は自由に空を飛び交うも、身体は灰になります。どのような最期が良いのかを考える一つに「お墓」の選択があります。
私は昨年、父を看取りました。
父は、30年も前から用意周到に自宅の近所のお寺の墓地用地を購入して、檀家になっていました。死亡後は、家族が墓石を建立し、埋葬する段取りです。
しかしながら、母が「待った」をかけました。
「この30年間、盆暮れのお布施、本堂修繕時の寄付をしてきた。墓を建立したら、お寺との付き合いがもっと頻繁になるはず。子供達(特に長女の私)に、煩わしい手間をかけさせたくない、永代供養をしてくれる所が良い。」また「お父さんを、清掃が行き届いたお寺の太陽の光が届く所に埋葬したい、自分もそんな墓地に埋葬して欲しい。」と言うのです。
父が購入していた墓地は薄暗く、本堂の周囲は雑然としていて、木々の落ち葉は掃き清められていません。清潔好きの母には、納得のいかない場所だったのです。
お墓探しの始まり
そこで、お墓探しの始まりです。
樹木葬(墓石の代わりに樹木をシンボルとするお墓で、基本的に跡継ぎを必要としない永代供養の埋葬)や屋内墓苑(マンション型のお墓で、墓碑を建立する必要がない搬送型の納骨堂で、駅からのアクセスが良い場所にある。永代供養付、ご遺骨は数体収蔵可能)などを見学しました。
そのなかから「残された家族に負担をかけない墓地を選びたい。」との母の希望通り、永代供養付の、周辺に緑が残る墓地を購入する事が出来ました。
心残りな事は、父とお墓について話し合う機会を持たなかった事です。
父の考えを聞いていたら、「もっと思い通りの最期を迎える事ができたかな…」と思うのです。自分の思い通りの最後を迎えるために、少しずつでも周囲の家族と話し合っておくことは必要ですね。
この機会を生かし、母とお墓はもちろんの事、相続や介護、延命等について話そうと思います。
後悔する事が無いよう、高齢の母と過ごす時間を、大切にしなければ…と心に留める毎日です。