空き家を有効活用する方法4選 - 空き家の相続はどう対策すべき?

空き家を有効活用する方法4選 - 空き家の相続はどう対策すべき?

本稿の概要
・空き家にはさまざまな活用方法があり、それぞれ一長一短があるため、よく検討する必要がある
・空き家を活用する際、補助金を利用できる場合がある
・管理の行き届いていない空き家は罰則が強化されつつあり、早急な対応が求められている

5年ごとに調査される「住宅・土地統計調査」の結果が公表され、現在の空き家の実態が明らかになりました。空き家率の平均は「13.8%」、徳島・和歌山・山梨・鹿児島・高知は20%を超えています。

このような状況から、徐々に管理不全の空き家の取り締まりが厳しくなっています。あなたも「うちの放置している空き家、大丈夫かな?」「固定資産税が高くなる?」と不安を感じていませんか?

本稿では、空き家を有効活用する方法や、これから相続する予定の実家を「管理不全の空き家」にしないための対策をご紹介します。空き家対策でお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。

空き家を有効活用する方法4選

「空き家を活用したいけど、どうすればいいか分からない……」と、お悩みの方は少なくありません。さて、どんな方法があるのでしょうか?

空き家の活用方法は、大別すると「貸す (ビジネス用途に使う)」と「自分で使う」に分類できます。さらに、更地(建物のない土地だけの状態)にして活用する方法と、売却する方法もあります。

それぞれ、詳しくご紹介していきましょう。

1:貸す・ビジネス用途に使う

空き家の活用で最初に思い浮かぶのが「貸して、家賃を得られないかな?」ではないでしょうか?

家賃収入を得る一般的な方法に「賃貸」があります。ただし、空き家を貸すにはリフォーム費用がかかる場合が多く、初期投資が必要になる場合があります。

初期費用をかけずに空き家を活用できる可能性もありますので、コンシェルジュにご相談ください。


手間や手続きが必要ですが「シェアハウス」や「コワーキングスペース」あるいは「店舗」に転用という選択肢もあります。それぞれ、詳しくご紹介していきましょう。

▼ 一戸建て賃貸物件



もっともオーソドックスな空き家の賃貸方法は、そのまま1世帯に貸す「一戸建て賃貸」でしょう。

一戸建て賃貸は、一棟アパートや区分所有マンションと比較すると、競合物件が少ない傾向にあります。

たとえば、以下の条件に当てはまる方の中には「一戸建て賃貸」に絞って物件を探す方もいます。

  • 大家族
  • 子育て世帯

一戸建て賃貸は、プライベートな部屋を確保しやすいことから、大家族に人気です。また、敷地内に駐車場がある物件も多く、騒音トラブルに巻き込まれにくい一戸建ては、子育て世帯に好まれます。

部屋数が多い場合は、テレワークをしているビジネスマン世帯に好まれるでしょう。老朽化が著しい空き家でも、ペットを飼っている方やDIYが趣味の方には、魅力的に見える場合があります。

また、一戸建て賃貸は入居期間が長くなる傾向があるため、長期間貸したい方には向いている方法かもしれません (ただし、建物を長期間所有することで、メンテンナンスの費用が必要になることもあります)。

▼ シェアハウス



空き家の用途を「寄宿舎」に変更して、対応するリフォームや建築確認申請をおこなう(一部、緩和措置が適用できる可能性があります)ことで、シェアハウスとして活用できます。


シェアハウスとは、各入居者専用のお部屋と、共用スペースを持つ賃貸住宅のことです。お風呂やトイレ、キッチンなどを入居者どうしで共同利用してもらえますので、空き家でも始められます。

シェアハウスのおもな入居者は、20~30代の単身若年層です。この属性の方々は、住居費が割安、かつ他人と交流できるシェアハウスに好んで住む方が珍しくありません。


1世帯に貸す「一戸建て賃貸」と比較すると、シェアハウスは収益の増加が見込めます。空室リスクも、軽減できるでしょう。

一方、入居者どうしのトラブルが起きる可能性があります。とりわけ盗難や騒音については、未然に防ぐためのルールを策定するなど、何らかの対策が必要でしょう。

▼ コワーキングスペース



近年、コワーキングスペースの需要が高まっています。なぜなら、個人事業主やフリーランス、あるいは副業をされる方が増加しているからです。

そんな方の中には「自宅では落ち着いて仕事ができない」と悩んでいる方もおられます。同じような立場の人たちと交流したり、情報を共有したりできる場所が欲しいと考えている方もおられます。

もしも、空き家の近隣にそのような需要があるなら、コワーキングスペースにすると利用してもらえるでしょう。ただし、不特定多数の人が出入りするため、近隣住民の理解を得る必要があります。

なお、住宅をコワーキングスペースにする場合は、用途変更(一戸建ての住宅 ⇒ 事務所)の確認申請が必要です。また、住宅専用の地域では、用途を変更できない場合もあります。

▼ 民泊



民泊も「貸す」事業の有力な選択肢になるでしょう。民泊には、以下の3つの区分があります。


簡易宿所旅館業法にもとづくホテル・旅館扱い。許可申請が必要。
特区民泊国家戦略特別区域法にもとづく民泊。認定申請が必要。エリア指定あり。
新法民泊住宅宿泊事業法にもとづく民泊。もっとも開業のハードルが低い。


空き家を民泊に転用するなら、新法民泊がもっとも現実的でしょう。ただし、以下の理由から収益を伸ばしていきたい方には向いていません。

  • 年間提供日数が180日以内に制限される
  • 家主が不在の場合は、住宅宿泊管理業者に管理業務を委託する必要がある

また、コワーキングスペースと同様に不特定多数の人が出入りします。外国人も利用するケースがあるため、近隣住民の理解を得られるかどうかがポイントになります。

▼ 店舗



店舗を開店したい方に貸すのも、ひとつの方法です。小売店舗や小規模飲食店であれば、比較的開業のハードルが低いため、借り手を見つけやすいでしょう。

空き家であれば、住みながらお店を運営してもらえます。その結果、ショップオーナーは経費(家賃等)を軽減できるため、経営を持続しやすくなるでしょう。

多少建物が古くても、店舗であればそれを生かすこともできます。たとえば、カフェや骨董品店であれば、建物の古さが良い演出になるでしょう。

なお、住宅を店舗にする場合も、用途変更の確認申請が必要です。

2:自分で使う

自分で使うのも、空き家を有効活用するよい方法です。とくに、現在賃貸住まいの方なら、空き家に移ることで住居費を大幅に削減できるでしょう。

ご自分で空き家を利用する場合は、次のふたつの選択肢があります。

  • 完全に移住して、自宅にする
  • 別荘やセカンドハウスにする

別荘やセカンドハウスにする場合は、空いている期間を民泊として活用する方法もあります。

ちなみに、別荘とセカンドハウスは税制上の扱いが異なるため、よく考えて選択する必要があります。


別荘日常生活のためではなく、保養のために利用するもの。税制上の「住宅」の優遇措置が適用されない。
セカンドハウス継続して毎月一定日数以上の居住が必要。毎月の利用状況が分かる証明書を添付し、申告する必要がある。


セカンドハウスの必要居住日数は、自治体によって異なります (1泊2日以上としているところが多い)。別荘と見なされると、固定資産税や都市計画税などの減税の対象から外れます。

3:更地にして活用する

家屋の損傷が激しい場合は、更地にしてしまうのもひとつの方法です。更地にする場合は、たとえば以下の方法で活用できます。

  • 建て替え
  • 貸土地
  • 貸農園
  • パーキング
  • 太陽光発電

ただし、宅地を住宅以外に使用する場合は、申請や地目(登記上の土地の用途)の変更が必要になる場合があります。ですから、実際に運営を開始するまで時間がかかる点は注意が必要です。

なお、宅地から農地への変更が認められると、固定資産税が安くなる等のメリットがあります。一方、あとあと売却しにくくなる等のデメリットもありますので、よく検討する必要があります。

貸農園やパーキング、太陽光発電などは、自分でやらずに運営会社に土地を貸す方法もあります。収入は減るかもしれませんが、運営関連の手間を減らせるでしょう。

4:売却する

自分で空き家に住む可能性がなく、ビジネスにも利用しないのであれば、売却を検討してみましょう。空き家を管理していくのは大変です。管理不全状態の空き家には、今後、風当たりが強くなっていく可能性が高いので、放置してしまうより得策でしょう。

売却する際「リフォームしたほうがいいの?」と悩まれる方が少なくありません。たしかに、リフォームすると早く売れる可能性がアップします。しかし、かけた費用分だけ高く売れるとは限りません。ですから、リフォームの実施については慎重に判断する必要があります。

東急株式会社「住まいと暮らしのコンシェルジュ」には建築士や宅地建物取引士などの資格を持つ専門家が多く在籍しています。豊富な知識や経験をもとに、リフォームのご相談にお応えさせていただきます。

空き家の売却や活用方法でお悩みの方は、東急株式会社「住まいと暮らしのコンシェルジュ」にご相談ください。私たちコンシェルジュなら、空き家の相続から活用や売却のことまで、ワンストップでご相談いただけます。あなたにぴったりの解決案を一緒に探しましょう。


空き家の利活用で使える補助金制度

空き家を利活用される際は、補助金制度を利用できる場合があります。

補助金制度は、自治体によって異なります。空き家のある自治体のホームページをご確認ください。

おもな補助対象は、以下のとおりです。

  • リフォーム費用
  • 移住をともなう購入費用
  • 老朽化した建物の解体撤去費用
  • 専門家派遣にかかる費用

各自治体のおもな補助金制度は、以下のサイトで検索できます。ご活用ください。


空き家の相続はどう対策すべき?

今後、空き家を相続されるご予定の方は、今から少しずつでも空き家対策を実施されるとよいでしょう。

空き家は「相続してから利活用について考え始めた」という方が少なくありません。ただ、空き家の処置には精神的・経済的負担がかかるため、前に進めない方が多いのです。

しかし、放置するとさらに負担が増す可能性があります。被相続人がご健在のあいだに、できることから進められると、いざ相続したときに前進しやすくなります。

深刻化する空き家問題の現状と今後



日本全国の空き家は、現在どのような状況なのでしょうか?今後、どうなりそうでしょうか?

令和5年度の住宅・土地統計調査によると、全国に空き家が約900万戸あり、住宅総数の13.8%を占めています。さらにその内、利活用目的のない空き家が385万戸あるようです。

まず前提条件として、この数字は増えていくとお考えください。その前提条件をベースにして、空き家の活用方法を考えましょう。


今後、大相続時代を迎えるため、空き家の数や空き家率は増加するとみられています。とくに、一戸建ての空き家率は、集合住宅に比べて大きく上昇していくでしょう。

そうなる原因は、単身世帯が増加していて、それ以外の世帯が減少しているからです。つまり、需要がなくなりつつあるのです。人口減少や少子高齢化の影響が、如実に出ています。

すでに、地域によっては空き家の借り手や買い手が付かなくなっています。一戸建ての空き家を相続しそうな方は、それなりに危機意識を持たれたほうがよいかもしれません。

覚えておきたい「改正空家法」の基礎知識



空き家に関わる法律にも、アンテナを張っておきましょう。空き家に対する世の中の問題意識が分かります。

2023年12月13日に、改正された「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。この改正により、管理状態が悪い空き家はペナルティーを課されることになりました。

従前は、倒壊の恐れがある「特定空家」を指導・勧告の対象としていました。改正後は、特定空家に加えて「管理不全空家」も指導・勧告の対象となっています。

管理不全を指摘され、悪化の防止を勧告された空き家は、敷地にかかる固定資産税の住宅用地特例(1/6等に減額)を解除されます。


特定空家に指定され、解体等を指導・勧告・命令された場合は、従わなければ代執行および費用を請求される可能性があります。

また、崩落しかけている等の緊急時は、命令をへずに代執行される場合があります。代執行された際の費用は、直ちに所有者から強制徴収されます。

徴収できない場合は、告知や督促をへて財産を差し押さえ、競売等で換価されます。今後、管理不全の空き家が増えれば、さらに取り締まりが厳しくなるかもしれません。


このように、世の中は管理の悪い空き家の罰則を強化し始めています。もう「放置」や「棚上げ」という選択肢は選びづらくなっていますので、ご注意ください。

相続に備えてやるべきこととは?



今後、空き家を相続しそうな方は、その発生するメカニズムを理解しておくとよいでしょう。なぜ空き家が生まれるのか知っておくと、事前にくい止められるかもしれません。

空き家は、以下のようなことをきっかけに発生します。

  • 実家を相続した
  • 独居の親が施設に入居した

さらに、以下のような理由から放置されるようになります。

  • 解体費用など経済的理由
  • 家財や荷物が片付かない
  • 将来再利用するかもしれない
  • 所有者や相続人が高齢
  • 所有者や相続人が遠方に住んでいる
  • 相続人どうしの確執
  • そもそも空き家をどうしたらいいか分からない

上述のきっかけや放置理由に「もしかしたら、うちも当てはまるんじゃないだろうか?」と思った方は、ご注意ください。早めの対策が必須です。

空き家を放置すると、以下のリスクが高まります。

  • 雑草や樹木の繁茂
  • 悪臭の発生
  • 不法侵入・不法投棄
  • 害虫や害獣のすみかになる
  • 景観悪化や治安悪化の原因になる
  • 地価下落の原因になる
  • 倒壊や崩落
  • 管理不全空家や特定空家の指定を受ける

このようなリスクが顕在化する前に、管理不全にならないような対策を立てる必要があります。

親御さまの生前に相続の話をするのは、なかなか難しいケースもあるでしょう。しかし、まずは親御さまの意思をしっかりと確認しておくことが大切です。

その意思を受けて、実際に相続が発生したらどう活用するのか?誰がどう動くのか?―― 今のうちに考えておきたいところです。

空き家の活用方法にお悩みの方は、住まいと暮らしのコンシェルジュへ

空き家は「時間がたてばたつほど、問題が大きくなる」とお考えください。大切な資産をマイナスの資産にしないためにも、できるだけ早いタイミングで活用方法を検討しておきましょう。

とは言え、空き家の問題は多岐にわたるため、ご紹介した活用方法が当てはまらないケースも多いでしょう。解決には調査や専門知識が必要ですので、まずは私たちコンシェルジュにご相談ください。提携会社と協力して、活用の可能性をアドバイスさせていただきます。


東急株式会社「住まいと暮らしのコンシェルジュ」は、横浜市や川崎市、品川区、町田市等の自治体と連携・協力して、住まいに関するご相談を承っております。ぜひ、お近くの店舗にお立ち寄りください。

わたしたちコンシェルジュなら、空き家の相続から活用や売却のことまで、ワンストップでご相談いただけます。あなたにぴったりの解決案を一緒に探しましょう。