人生の3大支出をご存知ですか?
3大支出とは「教育資金・老後資金・住宅資金」です。それぞれの特徴をみていきましょう。
コラム最後に実例紹介もご紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。
■教育資金
子ども1人あたりの教育費は最低でも約1千万円と言われます。
水泳やダンス、英語教室、ピアノ等のお稽古事からはじまり、小学校高学年頃になると学習塾等も増えてきます。受験となると補修や夏期講習なども加わりうなぎ上り。大学入学で教育費のピークを迎えます。
さらに海外留学や、医学薬学系への進学、もしくは浪人などなど、予定外の出費があるケースもありますね。
こんなこと予定していなかった!私の時代と違う!と思われる親御さんも多いことでしょう。
■老後資金
「人生百年時代」とは最近よく聞く言葉です。
2018年の日本人の平均寿命は女性が87.32歳、男性が81.25歳で、いずれも過去最高を更新 (厚労省発表)し、これから先さらに伸びると言われています。
それだけ老後生活も長くなるということですね。
将来、今の生活ペースのまま時間が大幅に増えたら、、、楽しみはお金と仲良し。やはり多少の余裕は欲しいものです。
■住宅資金
教育資金、老後資金に比べ、唯一確実に予定を立てられる資金です。
住宅費用の高い安いにとどまらず、支払いのタイミングもコントロールできるので、ライフプランニングにうまく組み込みたいものです。
例えば、最近の晩婚化でお子さまの教育費のピークが定年後!というケースもあります。
そんな場合は住宅ローンを急いで返済せず、教育費などの大きな出費が終わった後で、退職金で繰り上げ返済することもできます。
また、一生賃貸の場合は老後生活の収入と支出のバランスをあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
一般的には、住宅を購入し、定年までに住宅ローンを返済、老後生活では基本的に住宅費用支出がないほうが安心かもしれません。高齢者が賃貸を借りることに制約がある場合もあります。
また、ずっと社宅住まいで、退職と共に住宅購入を考える方もいらっしゃいます。
その場合は住宅ローン利用が難しい、もしくは少額しか借りられないこともあります。できれば住宅費補助等により負担が少ない分で、「全額キャッシュで購入」を目指し着実に準備をしておきたいものです。
このように、事前の想定、準備がとても大切なのです!
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シリーズでご紹介している「実例紹介 人生の三大支出と資金計画」、第2回目は共働きでDINKSのBさんご家族をご紹介いたします。
今回ご紹介するBさんご家族は結婚したばかり、結婚前にご主人が住んでいたアパートに現在一緒に住んでいます。次の賃貸契約の更新のタイミングで、もう少し広いところに引越しするかマンションを購入しようかと考え始めたそうです。
現在ご夫婦共働きで世帯年収は800万円、これから家族が増えた場合の収入や支出が良く分からず、予算設定に悩んでいます。また、結婚式などに貯金を使ったため貯蓄があまりなく、頭金が支払えるのかも心配だといいます。今の住環境は気に入っており、近くで販売中の約6,000万円の新築マンションが気に入りましたが、購入を決める前に無理のない予算設定をしたいとのご相談です。
■ご家族構成
夫:30歳(年収450万円)
妻:28歳(年収350万円)
■購入物件のご要望
6,000万円の新築マンション
貯蓄:300万円
家賃:13.0万円/月
生活費:12.0万円/月
お小遣い:夫、妻ともに3万円/月
ご家族構成ですが、1年後と3年後に誕生すると仮定し、お子さま2人の4人家族としてシミュレーションしてみましょう。奥さまの働き方についてですが、育休休暇を取りその後復職して時短勤務、お子さま2人が小学校高学年になったらフルタイムで働く想定にしてみましょう。お子さまは2人とも高校から私立の想定で大学まで進学、教育資金は1人あたり約1,500万円かかりますから2人で3,000万円みておきましょう。
では、今後の資金計画のグラフを見てみましょう。
年度別収支:物件価格6,000万円の場合
金融資産残高:物件価格6,000万円の場合
上のグラフは年度別の収支を表したもので、横軸は年齢を表し縦軸は収支の各金額を表します。また、赤い折れ線が収入、色別の棒グラフが支出になります。色の内訳は大きくオレンジは生活費、その下のベージュ・茶色が税金・社会保険料、青が住宅ローン、緑が教育資金、ピンクが車の買い替えや旅行・リフォーム費用などの支出になります。
下のグラフは金融資産残高を表し、横軸は同じく年齢、縦軸は金融資産残高の合計を表します。つまり、0を下回ると赤字つまり資金ショートを起してしまいます。
現在ご夫婦共働きで世帯年収もしっかりありますが、どうしてもお子さまが誕生のタイミングで収入がダウンしてしまうため金融資産残高がマイナスになってしまいました。
奥様の年収をある程度見込んで住宅ローンを組む場合、どうしても奥様がフルタイムで働けない期間の返済が苦しくなります。Bさんご家族の場合、購入後すぐにその期間を迎えます。対策としては、事前に貯蓄を増やし住宅購入の頭金を準備しておくことです。Bさん家族の場合その方法も検討できますが、貯蓄を増やすことを優先しすぎてしまうと定年後に住宅ローンの返済が何年も残ってしまう可能性もありますので、購入のタイミングをしっかり見極めたいですね。
Bさん家族の場合は、それよりも予算設定を見直すことで無理のない資金計画になりそうです。例えば1,000万円予算を抑え5,000万円とした場合をみてみましょう。
年度別収支:物件価格5,000万円の場合
金融資産残高:物件価格5,000万円の場合
予算の見直しと共に、毎月の生活費を1万円/月削減しましょう。どうにか赤字にならずに収支が成り立ちそうですね。Bさんご家族の場合はお子さまが誕生し、奥様がフルタイムで働くまでの約10年間がポイントになります。その間はなるべく支出を減らすことを検討しましょう。
住宅ローンの組み方を考えるのもひとつの方法です。最初の10年間の支出を抑えたいので、例えば一般的に金利の高い35年固定金利ではなく、それよりも金利を抑えられる「当初10年固定金利」を選択する、または固定よりも金利の低い「変動金利」を選択し10年後に借り換えや繰り上げ返済をする方法もあります。
シミュレーションを実施し、Bさん家族は将来のライフ・プランが明確になり、気持ちが楽になったといいます。お子さまがある程度成長したら資金に余裕も生まれますので、住みかえやリフォームで家族の成長に合わせて住まいを選んで行きたい!とこれからの将来が楽しみになったそうです。
住まいと暮らしのコンシェルジュでは提携するファイナンシャルプランナーと共に資金計画のシミュレーション(ライフ・プランニング)を実施しております。中立な立場のコンシェルジュと一緒に「無理のない予算」を見つけませんか。初回相談時に資金計画のシミュレーションをご希望の場合は「ライフ・プランニング希望」とお申し付けの上、来店ご希望日の日程候補をいくつかお知らせください。また定期的に「住まいの予算の決め方「個別」住宅資金相談会」を開催しております。こちらからもお申込みいただけます。(リンク先が表示されない場合、次回開催日は未定です。)
2020/01/22
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シリーズでご紹介している「実例紹介 人生の三大支出と資金計画」、第3回目は共働きのCさんご家族をご紹介いたします。
今回ご紹介するCさん家族はマイホームを購入するか賃貸のままか迷っているというお悩みです。現在社宅にお住まいで家賃補助があり、実負担は7万円/月。マイホームを購入すると家賃補助がなくなり、例えば6,000万円の物件を購入した場合は住宅ローンの返済額として、確実に今よりも負担額が上がってしまいます。購入した場合の負担額が上がることへの不安があり、家賃補助のある間は賃貸のままとした方が良いのか、それとも早めに購入すべきかと決断のタイミングに迷っています。
■ご家族構成
夫:32歳(年収600万円)
妻:30歳(年収180万円)
■購入物件のご要望
6,000万円の新築マンション
貯蓄:500万円
家賃:7.0万円/月
生活費:15.0万円/月
お小遣い:夫、妻ともに3万円/月
まずご家族構成ですが、現在3歳のお子さまが1人です。このまま3人家族かもしれないし、もう1人増える可能性もありそうです。そのため、ここでは2年後にもう1人増える想定でシミュレーションしてみましょう。お子さまは高校まで公立、大学は私立の想定で、教育資金として1人あたり約1,200万円かかります。奥様の働き方として、お子さまが小学生までは年収180万円、中学生になるとフルタイムで年収300万円からのスタートで定年まで働く想定です。
年度別収支:物件価格6,000万円の場合
金融資産残高:物件価格6,000万円の場合
上のグラフは年度別の収支を表したもので、横軸は年齢を表し縦軸は収支の各金額を表します。また、赤い折れ線が収入、色別の棒グラフが支出になります。色の内訳は大きくオレンジは生活費、その下のベージュ・茶色が税金・社会保険料、青が住宅ローン、緑が教育資金、ピンクが車の買い替えや旅行・リフォーム費用などの支出になります。
下のグラフは金融資産残高を表し、横軸は同じく年齢、縦軸は金融資産残高の合計を表します。つまり、0を下回ると赤字つまり資金ショートを起してしまいます。
シミュレーションをしたところ、予算6,000万円の想定で収支問題なさそうと分かりました。現在家賃補助があり、相場よりも住宅に関わる負担を抑えられている分、貯蓄ができる環境です。このまま賃貸に住み、貯蓄のできる環境をキープしていくことも有効な手段です。注意点としては、住宅ローンの返済期間を最長の35年とすると、完済年齢は67歳になりますね。Cさんは65歳が定年ですので定年後に住宅ローンが残る計算になります。もし購入時期を3年後、5年後とすると完済年齢が遅れます。その場合でもCさん家族の場合は繰り上げ返済が可能な収支計算ですから、定年を迎える前に完済してしまった方が安心かもしれませんね。
また、すぐに購入しても収支問題ないと検証できましたので、購入するタイミングは「気に入った物件があったらそのタイミング」で良いのではないでしょうか。あまり先延ばしにはせず、家賃補助があるうちに気に入る物件を見つけて購入する計画で考えてみるのはいかがでしょうか。
シミュレーションを実施し、Cさん家族は何をきっかけに購入を決断すれば良いのか頭の中がすっきりしたとおっしゃっています。購入のタイミングを迷う場合、資金計画のシミュレーションは1つの判断材料として有効ではないでしょうか。
住まいと暮らしのコンシェルジュでは提携するファイナンシャルプランナーと共に資金計画のシミュレーション(ライフ・プランニング)を実施しております。中立な立場のコンシェルジュと一緒に「無理のない予算」を見つけませんか。初回相談時に資金計画のシミュレーションをご希望の場合は「ライフ・プランニング希望」とお申し付けの上、来店ご希望日の日程候補をいくつかお知らせください。また定期的に「住まいの予算の決め方「個別」住宅資金相談会」を開催しております。こちらからもお申込みいただけます。(リンク先が表示されない場合、次回開催日は未定です。)
2020/02/24
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住まいを購入する時、住宅ローンを組む方が大半という調査結果があります。
国土交通省の「平成30年度 住宅市場動向調査」によると、注文住宅(新築)取得世帯の79.9%、分需要戸建住宅と分譲マンション取得世帯がそれぞれ72.6%と68.1%、中古戸建住宅と中古マンション取得世帯でそれぞれ54.1%と55.2%が住宅ローンを利用していると回答しています。(一次取得以外も含む)
大きな金額の借入になりますから、無理なく返済できるか心配に思われる方も多いのではないでしょうか。今回からシリーズで資金計画のシミュレーション実例をご紹介します。
住宅ローンの返済はもちろん、人生の三大支出と言われるお子さまの教育資金、ご自身の老後資金も含めて検証していきましょう。
今回ご紹介するAさんご家族はご夫婦とお子さま2人の4人家族。ふらっと見に行った新築物件が気になっています。案内してくれた不動産会社の担当者が「Aさんならローンの借入れは大丈夫ですよ!」と勧めたそうですが、これから子どもの教育費がかかることを考えると、6,000万円という金額は不安があるといいます。
この物件を購入しても問題はないのでしょうか?
■ご家族構成
夫:32歳(年収620万円)
妻:30歳(専業主婦)
長男:3歳
長女:1歳
■購入物件のご要望
6,000万円の新築戸建て
貯蓄:1,500万円
家賃:13.0万円/月(駐車場代含む)
生活費:11.0万円/月
車;所有(10年ごとに買い替え)
お小遣い:夫、妻ともに3万円/月
奥様は現在専業主婦ですが、お子さまが小学校に入学したら扶養の範囲で仕事に就き、ずっと仕事は続けたいとのお考えです。では、無理のない範囲で奥様の年収を年間80万円みておきましょう。お子さまは2人とも高校から私立に進学した場合の想定です。1人あたり約1,500万円の教育費がかかりますから、合計で約3,000万円ですね。また、今後お子さまが成長すると生活費も今のままでは難しいでしょう。お子さまが学生の頃は少し加算しておきましょう。
では、今後の資金計画のグラフを見てみましょう。
年度別収支:物件価格6,000万円の場合
金融資産残高:物件価格6,000万円の場合
上のグラフは年度別の収支を表したもので、横軸は年齢を表し縦軸は収支の各金額を表します。また、赤い折れ線が収入、色別の棒グラフが支出になります。色の内訳は大きくオレンジは生活費、その下のベージュ・茶色が税金・社会保険料、青が住宅ローン、緑が教育資金、ピンクが車の買い替えや旅行・リフォーム費用などの支出になります。
下のグラフは金融資産残高を表し、横軸は同じく年齢、縦軸は金融資産残高の合計を表します。つまり、0を下回ると赤字つまり資金ショートを起してしまいます。
年度別収支のグラフを見ると、お子さま2人が大学生のタイミングでは支出が収入を抜いています。そのため、事前に住宅ローンの繰り上げ返済などをしすぎずに教育資金をしっかり手元に残しておくことが必要です。また、ご主人が60歳のタイミングで定年を迎え、退職金を見込んでいます。定年後に住宅ローンの返済が残っていることが分かりますね。
Aさん家族の場合、ご心配されていた教育資金の捻出という点について必要な時に資金は捻出できそうですが、残念ながらこの計画では老後の資金がショートしてしまうため教育資金を含めての見直しが必要です。老後の生活として年金支給を見込んでいますが、シミュレーションでは夫婦2人の生活で20万円/月の支出をみています。この額は決して贅沢な生活の場合の金額とは言い切れませんから、この支出を削るよりも老後を迎える前に老後資金をしっかり準備しておく方が良いでしょうね。
支出を抑える、もしくは収入を増やすことを検討しましょう。仮に他の条件を変えずに購入する物件価格を△1,000万円とした5,000万円の場合でシミュレーションしてみましょう。その場合のグラフが下記になります。
年度別収支:物件価格5,000万円の場合
金融資産残高:物件価格5,000万円の場合
年度別収支のグラフの青い部分の「住宅ローン」の負担が少なくなり、金融資産残高のグラフでは0を下回ることがなくなりましたね。これなら無理のない資金計画といえます。もし、予算をキープしたいのなら、収入を上げることも検討しましょう。例えば、奥様が現在扶養の範囲の年収ですが、単純計算で60歳までに総収入額を1,000万円増やすことです。例えば、40歳からの20年で1,000万円、つまり年間50万円収入を増やすことも改善案の1つです。ただしその場合、扶養控除もなくなりますし、所得税など収入が増える分の税額も変わります。また外食費や奥様のおこづかいが増えることが予測されますので生活費の見直しも必要になります。
Aさんご夫妻は、シミュレーションをして、漠然としていた予算の感覚が掴めたといいます。老後も安心できる5,000万円を予算に設定して住まい探しを検討していくことになりました。これからどのようにいくら貯蓄をし、いつまでにいくら必要かが分かると安心ですよね。
住まいと暮らしのコンシェルジュでは提携するファイナンシャルプランナーと共に資金計画のシミュレーション(ライフ・プランニング)を実施しております。中立な立場のコンシェルジュと一緒に「無理のない予算」を見つけませんか。初回相談時に資金計画のシミュレーションをご希望の場合は「ライフ・プランニング希望」とお申し付けの上、来店ご希望日の日程候補をいくつかお知らせください。また定期的に「住まいの予算の決め方「個別」住宅資金相談会」を開催しております。こちらからもお申込みいただけます。(リンク先が表示されない場合、次回開催日は未定です。)
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シリーズでご紹介している「実例紹介 人生の三大支出と資金計画」、第5回は40代半ばを迎えて老後生活も気になり始め、このまま賃貸住まいを続けるか購入するか検討しているEさんご家族をご紹介します。
今回ご紹介するEさん家族は転勤が多く、長く社宅住まいをしています。転勤が多いことで今まで購入に踏み切れなかったものの、そろそろ定年後の老後生活も気になりだし始め、このまま賃貸住まいで良いのか、購入した方が良いのか悩まれています。そしてもし購入するなら予算はいくらが適切なのか、資金的な見通しをしっかり立てたいとのご要望です。
■ご家族構成
夫:45歳(年収650万円)
妻:42歳(年収100万円)
長女:15歳
長男:13歳
■購入物件のご要望
物件価格:4,000万円(戸建て・マンションどちらでも良い)
購入諸費用:300万円
貯蓄:1,500万円
家賃:13.0万円/月
生活費:12.5万円/月
お小遣い:夫、妻ともに3万円/月
車:あり
賃貸住まいのメリットは、ニーズに合わせて気軽に住まいを替えていくことができる点です。例えば、10年後にはお子さまが2人とも独立してご夫婦2人だけの生活になるかもしれません。そうなった場合、ファミリータイプの広い物件からコンパクトな住まいへ引越し、家賃負担を減らすということもできるでしょう。他にも両親の介護が必要になって実家の近くに引っ越す、なども考えられますね。
購入した場合のメリットは住まいが資産になることではないでしょうか。住宅ローンを組めば、団体信用生命保険により万が一の場合もローンは完済されますので、いざという時の備えにもなります。
しかし、賃貸住まいの時に比べ、購入した場合は固定資産税や都市計画税といった費用がかかることも忘れてはいけません。また、住宅ローンの借り入れを利用する場合、20代や30代で購入するケースに比べ定年まで働ける期間はどうしても短いですから、何年間で返済できるかをしっかりと考えておきたいですね。
返済期間と借入れ可能額のバランスを考えると、購入するのであればローンの面から見るとなるべく早いタイミングの方がおすすめです。状況によって購入を先にする場合は、今後は借入可能額が少なくなっていくのを見込んで、その分の自己資金をしっかり貯めておく事を検討すべきかもしれません。
また、ずっと賃貸住まいを選択する場合の注意点としては、定年後など年齢を重ねていくにつれ、物件を借りる際の保証人の設定を求められるなど一般的には賃借の条件が厳しくなることがあげられます。
Eさんご家族の場合、これから大きな支出となるのがお子さまの教育費です。15歳のご長女は高校まで公立、大学は私立文系への進学を想定、13歳のご長男は高校まで公立、大学は私立理系で想定します。大学卒業までそれぞれ一人あたり約1,000万円、合計2,000万円かかる想定です。物件価格4,000万円の戸建てを購入した場合でシミュレーションし、住宅ローンについては4,000万円借入れするものとし、返済期間30年間の固定金利とします。
この場合のシミュレーションしたものが下記グラフです。
年度別収支:予算4,000万円の場合
金融資産残高:予算4,000万円の場合
上のグラフは年度別の収支を表したもので、横軸は年齢を表し縦軸は収支の各金額を表します。また、赤い折れ線が収入、色別の棒グラフが支出になります。色の内訳は大きくオレンジは生活費、その下のベージュ・茶色が税金・社会保険料、青が住宅ローン、緑が教育資金、ピンクが車の買い替えや旅行・リフォーム費用などの支出になります。
下のグラフは金融資産残高を表し、横軸は同じく年齢、縦軸は金融資産残高の合計を表します。つまり、0を下回ると赤字つまり資金ショートを起してしまいます。
お子さまが大学生の期間は収入よりも支出が大きくなり、貯蓄を取り崩すことになります。お子さまが大学を卒業し、65歳の定年まで約10年間の間は貯蓄ができる期間ですが、収入が減少することもあり住宅ローンの負担が大きく、70代前半で手持ち資金がショートしてしまう試算になっています。
それでは、物件価格を1,000万円下げた3,000万円とした場合でもシミュレーションしてみましょう。物件価格以外は同一条件とした場合が下記グラフです。
年度別収支:予算3,000万円の場合
金融資産残高:予算3,000万円の場合
この場合、金融資産残高がマイナスにはならず老後の生活も成り立ちそうですね。予算を1,000万円下げたことにより、月々の住宅ローンの支払いは約3万円減額されました。
もし、物件価格を4,000万円のままで検討したい場合は他の方法を検討しましょう。例えば支出を抑える方法として、当初は車を70歳まで所有するシミュレーションにしていますが、マイホーム購入を機に車を持たない生活を検討するのも一つです。これによりEさん家族の支出は単純計算で約900万円が減らすことができます。(10年ごとに200万円の買い替え、年間約5万円の維持費を見込んでいます)
もちろん、車を所有しない代わりにレンタカーやカーシェアリングの利用、バスやタクシーを利用する機会が増えるかもしれませんので、単純に全額マイナスしきれない点には注意が必要です。
また、老後の生活についてですが、このシミュレーションでは夫婦2人の生活費(住宅関連費用等を除く)で20万円/月の生活費を見込んでいます。参考として総務省が発表している家計調査年報(2018年)によると60~69歳では291,019円、70歳以上で237,034円との統計が出ていますので、住宅関連費用等を含めたとしても厳しくみている金額です。ゆとりのある老後生活とする場合は物件価格の設定の見直しや支出を見直す、あるいは収入を増やす方法を検討しましょう。
マンションの場合、毎月管理費・修繕積立金の支払いが生じます。Eさんと、マンション購入についても検討してみました。
ご紹介した物件の場合、ファミリータイプの広さで管理費と修繕積立金合わせて約3万円/月です。戸建ての場合これら費用はかかりませんが、10~15年ごとに外壁・屋根のメンテナンスが必要で100万円~300万円かかります。(塗装のみの場合、屋根葺き替えの場合などの違いで費用に幅があります)
また、マンションで駐車場を借りる場合は駐車場代がかかる場合があります。戸建ての場合も敷地内に駐車場がない場合などは駐車場代がかかります。Eさんにご紹介したマンション物件の場合は1.5万円/月の駐車場代かかりますね。
固定資産税も戸建てとマンションでは違いがあります。これは物件の築年数や所在エリア、構造、面積等により異なります。それらを総合すると維持費としては一概にどちらが高いと言えませんが、物件が絞られている場合は判明している金額を落とし込んでしっかり検証しておきましょう。
シミュレーションを実施し、Eさん家族は賃貸のままか購入かそれぞれの選択肢について老後の生活まで見据えてライフプランをイメージしやすくなり、どちらを選ぶか考えやすくなったとおっしゃいます。購入する場合はなるべく不安の残らない収支にしたいとのご希望から、予算は3,000万円とし、車は手放し駅から徒歩でアクセスできるマンションに絞って探していきたいと方向性が決まりました。
住まいと暮らしのコンシェルジュでは、提携するファイナンシャルプランナーと共に資金計画のシミュレーション(ライフ・プランニング)を実施しております。中立な立場のコンシェルジュと一緒に「無理のない予算」を見つけませんか。
2020/05/01
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シリーズでご紹介している「実例紹介 人生の三大支出と資金計画」、第7回は50代後半になり、数年後に迫った定年後のセカンドライフと老後資金について考え始めたGさんご家族です。
今回ご紹介するGさんご家族は、ご夫婦の年齢が50代後半になったことをきっかけに、定年後の生活にまつわる老後資金のこと、セカンドライフを過ごすマイホームのことが気になり始めたそうです。今回は定年後の生活費や老後資金を軸に、これから先の生活を踏まえて住まいをどうするかについても考えていきましょう。
■ご家族構成
夫:58歳(年収800万円)
妻:55歳(専業主婦)
長女:20歳(大学2年生)
■ご自宅の検討状況
・築30年の戸建て(敷地面積:約35坪 2階建て)
・断熱や水廻りの老朽化が気になり始めており、建て替えを検討したい
・住宅ローンの返済が残っており、完済は65歳の予定
まず収入について情報をまとめましょう。ご主人は現在58歳、2年後に60歳で定年を迎えます。60歳で退職金を受け取り、65歳まで再雇用で働く予定のライフプランです。想定の退職金は約2,000万円、再雇用の期間は現在の年収より減少しますが、65歳時点で年収520万円程度が見込める想定とのお話です。
次に支出についてです。現在は家族3人の生活費として12.5万円/月程度です。65歳を過ぎるとご夫婦の時間も増えますから、家での出費は増えると考えられ、今より余裕をみておきたいですね。セカンドライフの生活費として23.0万円/月でシミュレーションしてみましょう。
また、お子さまが現在大学2年生です。大学卒業で就職と仮定し、今後の教育資金として約600万円(私立理系の場合)を考えておきましょう。他に大きな支出としては住宅ローンの返済がありますね。完済が65歳の予定ですが、貯蓄は1,500万円ありますので、必要になれば住宅ローンの残債を一括返済し完済することも可能な状況です。
現在で築30年経っており、もし今後さらに30年近く住むとなった場合は、建て替えが必要になりそうですね。老後の生活として、階段の上り下りが負担になったらマンションへ住みかえる、あるいは将来お孫さんが誕生した場合に二世帯住宅に建て替えるなど、考えられる選択肢はたくさんありますね。
Gさんご家族とご相談したところ、今お住まいの住環境を気に入っていることが大きいとのお話があり、今の家を建て替えて快適に暮らしたいという方向性で検討することになりました。また、今から10年後などに何かしら生活に不便を感じてから住みかえ・建替えを検討するよりも、体力的な負担などを考慮し、可能であれば近いタイミングで自宅を建替えたいとのことです。では、なるべく早い時期の自宅建て替えを想定したシミュレーションをしましょう。
ご自宅の敷地面積は約35坪です。ご夫婦二人の生活でしたらコンパクトな間取りも可能ですが、趣味のお部屋なども設ける4LDKのプランへの建て替えで金額を想定してみましょう。
ご要望をもとに金額を想定すると、建て替え費用として約2,500~3,000万円必要です。現在の貯蓄では足りませんから、退職金を建て替え資金に充てる計画になります。また、自宅建て替え時は、原則としてローンを完済する必要があります。もし退職金が手元に入る前に建て替えを行うのであれば、貯蓄で現在の住宅ローンを完済した上で、新たに新居の住宅ローンを組む必要がありますね。新居の住宅ローンが組めるかどうかは、諸条件をもとに金融機関ごとの判断になります。予め金融機関に相談しておきましょう。今回は希望条件で借入れが可能な場合としてシミュレーションを行います。
では、これら情報・条件を元に今後の資金計画をシミュレーションしてみましょう。グラフにして示した結果は下記のとおりです。
年度別収支:建て替え資金2,500万円の場合
金融資産残高:建て替え資金2,500万円の場合
上のグラフは年度別の収支を表したもので、横軸は年齢を表し、縦軸は収支の各金額を表します。また、赤い折れ線が収入、色別の棒グラフが支出になります。色の内訳は、面積の大きなオレンジは生活費、その下のベージュ・茶色が税金・社会保険料、青が住宅ローン、緑が教育資金、ピンクが車の買い替えや旅行・リフォーム費用などの支出になります。
下のグラフは金融資産残高を表し、横軸は同じく年齢、縦軸は金融資産残高の合計を表します。つまり、0を下回ると赤字、要するに資金ショートを起してしまいます。
シミュレーション結果を見ると、建て替え費用は2,500万円程度に抑えた方が良さそうですね。3,000万円に予算を伸ばしてしまうと老後資金に不安が残ります。ハウスメーカーによって価格の幅は大きいですから、会社選定も大きなポイントになりますね。
また、例えば建て替えの費用を調整するには、プランを1坪(3.3㎡)コンパクトにするだけで、数十万円減額することができます。ハウスメーカーによっても価格の幅がありますが、6畳の部屋を1部屋減らすことによって200万円近く建築費用を抑えることも可能な場合があります。定年後のセカンドライフを快適に過ごせるように、上手くバランスを見て検討していきたいですね。
シミュレーションを実施し、Gさんご家族はこれから先の生活にかかる資金のこと、これからの住まいをどうするかについても具体的に考えることができたとおっしゃいます。安心してセカンドライフを迎えるために、楽しんで建て替えのプランを考えていきたいとのことです。
住まいと暮らしのコンシェルジュでは、提携するファイナンシャルプランナーと共に資金計画のシミュレーション(ライフ・プランニング)を実施しております。また、資金計画のシミュレーションを元に、建て替えのご相談までトータルで承っております。多くの提携パートナー会社とともに、具体的なプランや金額をご案内いたしますので、快適なセカンドライフに向けてコンシェルジュと一緒に住まいの検討を進めませんか。
2020/06/01
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