2017年に創設された「セルフメディケーション税制」をご存知でしょうか?
医療費控除の特例で「健康の維持増進及び疾病の予防」を目的とした税制特例措置です。高齢化や生活習慣病の増加に伴う国民医療費の増大を緩和したいという背景があります。
現在の国民医療費は数兆円にのぼると言われています。その中で生活習慣病の医療費構成割合は3分の1を占めているそうです。
自分自身の健康に責任を持って病気を予防し、軽度な身体の不調は、市販薬を使い自分自身で治しましょうというのが狙いです。
これは2021年12月末までの税制です。
気になっていたけれど、実行に移していなかったあなたも、今からでも遅くはありません!
今回はどのくらいお得な税制なのかを検証してみたいと思います。
医療費控除は家族で10万円超!
早いもので今年も刻々と年末に近づいております。
医療費を一年間に10万円以上自己負担すると医療費控除の対象になることは、皆様ご存じかと思います。(但し総所得金額200万円未満は総所得金額の5%を超えた額が控除対象になります)
元旦から、家族の医療費領収書を保管しておいても、年末に計算すると10万円に届かなかった、というご家庭も多いと思います。一年間保管しておいた領収書を年明けに処分するケースが多い、ハードルが高い金額ですよね。
セルフメディケーション税制とは?
セルフメディケーション税制は、その年に健康診断等を受けた申請者が対象医薬品を1年間で12,000円(生計を一にする親族の分も含む)超える購入をした場合、超えた額が所得控除の対象となる税制です。上限は88,000円です。
確定申告をすると、納めた所得税から一部が戻り、また翌年の住民税が減額されます。
また医療費控除とは、どちらか一方の選択となります。
では所得控除を受けられる条件は?
①所得税、住民税を納めていること。
②健康保険組合や市町村国保等保険者、勤務先が実施している定期健康診断、特定健康診査(メタボ検診)、予防接種、がん検診、人間ドックなどを受け、健康保持の取り組みをしていること。
ここで注意ですが、②の取り組みにかかった費用は残念ながら控除の対象にはなりません。
それでは実際にシミュレーションをしてみましょう
市販薬を12,000円!と聞くと、そんなに買うかな?と思われる方もいらっしゃると思います。
試しに個人的に常備しておきたい薬をリストアップしてみました。
価格は某ドラックストアのオンラインで購入した場合の税込価格です。控除の対象金額は消費税込になります。
肩こり腰痛眼精疲労薬×2(16,250円)肩こり腰痛塗薬 (7,610円)高コレストロール改善薬×2(7,900円)アレルギー性鼻炎飲み薬×2(7,090円) アレルギー用点鼻薬×2 (4,640円) アレルギー性目薬×2 (3,580円)整胃剤×2(5,050円) 整腸剤(1,010円)風邪薬 (2,420円)頭痛薬×2(4,360円)皮膚炎塗り薬(2,090円)
以上を購入したとしましょう。これだけでもトータルで62,000円になりました。
62,000-12,000=50,000 により、50,000円が控除対象となります。
さて節税効果はどのくらい?
次に、気になる減税額を検証してみたいと思います。
確定申告することにより、納めた所得税の中から所得税率を掛けた分が戻ります。
例えば課税所得が330万円超え695万円以下の場合で計算してみましょう。
所得税は20%、住民税は10%の方としますと、
所得税では10,000円(控除額50,000円×20%)が戻り、住民税は5,000円(控除額50,000円×10%)翌年分が減額されることになります。
15,000円分が節税できました!
厚生労働省 セルフメディケーション税制について
所得金額によって変わる所得税の速算表については下記の表のとおりです。
消費税もついに10%になってしまいました。この特例措置は気軽にできる節税対策です。賢く活用したいですね。
確定申告をして節税しつつ、これからも健康維持に励んでいきましょう!
国税庁No.2260 www.https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm